医療の連携強化を
愛知病院と岡崎市民病院が経営統合
来年4月の移管めざす
愛知県と岡崎市は5日、県がんセンター愛知病院(同市欠町)を市民病院に移管して市に経営統合するため、条件や移管後の機能再編、新名称、人員配置などを含めた正式な協議に入ると発表した。「両院の医療連携強化を図る」として、来年4月1日の移管を目指す。(今井亮)
昭和29(1954)年10月に開院した愛知病院は、厚生労働省指定の地域がん診療連携拠点病院。肺や消化器、乳腺、骨軟部などを中心に診療し、がん、結核、感染症などに対応している。
消化器がんの症例数は市民病院とほぼ同数だが、肺がんや乳がんの症例数で大きく上回る。また市民病院にはない緩和ケア病棟(外来緩和ケアセンター)を所有。一般病床220床に対する稼働率は60.6%(平成29年4月1日現在)。
その一方で、頭頸部(頭部、首)や泌尿生殖器(膀胱、子宮など)系の診療科はなく、救急対応ができない場合が多い。また経営不振が続いており、平成28年度決算では4億2,690万円の赤字という。
移管による利点として、両院が持つ強みで互いを補完するほか、医師やがん治療に特化した認定看護師の確保、西三河南部東医療圏(岡崎市、幸田町)で7年後までに必要な病床数などが規定されている「地域医療構想」への対応などを挙げている。
内田康宏市長は「市民病院と愛知病院は距離が近く、がん診療で競合している部分があった。両院の機能を理想的な形で再編できれば財政的な効果をはじめ、医療スタッフの効果的な配置にもつながる。地域医療の将来を見据えた大きなメリットを期待している」とし、「当面は病院を2つ経営する市への支援を県に要請する。不採算でも経営していかなければならないのが公立病院。黒字への転換に努力していく」と述べた。