記念碑と文庫を設置
岡崎 ノーベル賞・大隅さんにちなみ
岡崎市明大寺町の自然科学研究機構基礎生物学研究所で27日、同所に平成8年4月から13年間勤務した大隅良典さん=東京工業大学栄誉教授=を招き、昨年のノーベル医学生理学賞受賞を記念して制作された石製モニュメントの除幕式が行われた。また小森彰夫機構長から同機構で初めての「特別栄誉教授」の称号が、大隅さんに授与された。(今井亮)
三河産の御影石などを使ったモニュメントは、同所前に設置された。ノーベル賞を受賞した大隅さんの研究「オートファジー」(自食作用)を象徴し、オートファジーを結論づける証拠となった「電子顕微鏡で覗いた酵母細胞の断面」をモチーフにデザイン。断面にある小さな石の球体は、オートファジーによって生まれた酵母細胞内の粒子を表している。
除幕後、大隅さんは「どこにもないユニークで精巧な素晴らしいモニュメント。いろいろな研究者が、このユニークさから自由にいろいろなことを感じ取ってもらえれば」と述べた。
同所広報室によると、モニュメントの構想は大隅さんの受賞直後からあり、昨年末にイメージが固まった。研究者・所員や岡崎南ロータリークラブ(伊豫田浩会長)から集まった寄付金108万円を制作費として、石工が岡崎の伝統的な地場産業であることから岡崎石工団地協同組合に制作を依頼した。
この後、同市図書館交流プラザ(りぶら)では同クラブが、大隅さんが推薦した科学関連の図書181冊(約50万円相当)を、「大隅文庫」として市立中央図書館に寄贈した。図書は同館での閲覧・貸し出しのほか、市内の小学校にも配布して読んでもらう。
伊豫田会長は「大隅文庫で関心を持ち、科学の道を志す研究者が出てきてくれることを願っています」とあいさつ。大隅さんが、図書の一部を愛宕小学校と城北中学校の児童生徒に渡した。
大隅さんは「本に親しんで学校で学ばないことに少しずつ目を向けていってほしい」とし、「大切なのは自分の興味を広げていくこと。自らが抱く考えや疑問を大事にして、有意義な小中学校生活を過ごしてほしい」と会場の小中学生にエールを送った。