建立当時の姿に修復
岡崎 日吉山王社事業に寄付募る
岡崎市滝町の住民らが、町内にある国の重要文化財「滝山寺」を境内裏手から守護する「日吉山王社」(市指定文化財)本殿を修復し、屋根を建立当時のこけら葺きに復元する事業の寄付を募っている。
「日吉山王社を守る会」(中根守久会長)によると、慶長13(1608)年に徳川家康によって建立された日吉山王社は、正保2(1645)年に三代将軍・家光が再建。市美術博物館に寄託されている御神体の神像7体が、本殿を支える柱8本の間に開いた7つの間口の奥に安置されていた。
しかし、江戸時代後期以降に屋根が瓦葺きにされたことで、長年の荷重による本殿の破損で雨漏りが起きているほか、軒下や床板、天井板、土台の腐食などの老朽化が進行している。昭和50年代からは本殿全体がトタン板で覆われた状態になっている。
平成23年に市教育委員会が行った調査で、建立当時の屋根は木材の板を重ね合わせた「こけら葺き」だったことが判明。同会は市の補助金約4,500万円を含めた事業費約8,500万円を見込み、使える部材は生かして破損箇所を部分的に修復するとともに、屋根の荷重軽減が期待できるこけら葺きに戻す。平成31年4月以降に着工、33年3月の完成を目指している。
中根会長は「滝山寺、滝山東照宮と一体となった本来の景観を取り戻したい」と話している。問い合わせは中根会長(46―4632)へ。(今井亮)