メタボ、糖尿病改善か
岡崎・基生研 野田教授ら
肥満「主要因」の仕組み解明
自然科学研究機構基礎生物学研究所(岡崎市明大寺町)の野田昌晴教授や新谷隆史准教授らのグループは、脂肪細胞から放出されるホルモン物質「レプチン」が働く摂食抑制を、体中の細胞内にある酵素分子「PTPRJ」が増えて阻害することで起きる肥満の主要因「レプチン抵抗性」の仕組みを解明したと発表した。
レプチンは脳内の摂食中枢を刺激し、満腹感に伴い過度の摂食を抑制。しかし肥満(BMI25以上)の場合、摂食中枢でレプチンと同時にPTPRJが増えることでレプチンの抑制作用が弱まり、摂食を続けるという。
高カロリーの摂食で増えるPTPRJはレプチンのほか、インスリンの働きも抑制するため、グループはPTPRJ活性化の阻害が、肥満によるメタボリックシンドロームや糖尿病の改善につながるとみている。
グループは、マウス12匹に高脂肪の餌を与えて飼育。生後16週の時点で、PTPRJを欠損させたマウスは通常のマウスに比べ、脂肪量が約40%少なく、体重が14%軽かったことからレプチン抵抗性の仕組みを結論づけた。1年前からPTPRJ活性化の阻害剤の研究開発に取り組んでおり、「将来的に肥満による疾患の新薬開発につなげたい」としている。
研究結果は英国のオンライン科学誌「Scientific Reports」に14日付で掲載された。(今井亮)