ネパール・バディ族の少女の救出・育成・自立支援を目的にしたカフェ「バディカフェ」があす12日、岡崎市細川町にオープンする。NPO法人「ゴスペル・エイド・フォー・アジア」(佐藤美香代表)が運営。店内では少女らが梱包作業に携わったコーヒー豆で入れたコーヒーやサンドイッチなどを提供し、少女らの現状を伝える。(横田沙貴)
約30平方メートルの店内にはテーブル席14席とカウンター3席、店外にテーブル席4席を設けている。駐車場完備。飲食物のほかに少女らが制作したアクセサリー、店内で提供する物と同じコーヒー豆「30秒コーヒー」(250グラム、2,160円)の販売を予定している。30秒コーヒーは世界中で30秒に1人の少女が売春宿に売られるとされていることから命名。売り上げの5 %が少女らの支援活動に使われる。
同NPOは少女の救出・保護を行う団体「ライトハウスファンデーション・ネパール」を支援しており、売り上げの一部は同団体に寄付する。
ネパールでは廃止されたカースト制度が根強く残っており、バディ族は最下層の「不可触民」と言われている。特に女性は幼いころから人身売買や強制売春、性暴力といった危険にさらされ、多くは9歳ごろに売春宿へ連れていかれるという。同団体はこれまでに600人以上を救出し、同国内10施設で保護している。だが、少女1人の生活費や教育費、医療費に月約80ドル(8,800円程度)が必要だという。
3児の母でゴスペル教室の講師でもある佐藤さんは、平成26年、スウェーデン人宣教師から同国の状況を聞いた。長女が当時9歳だったこともあり、衝撃を受けた。昨年3月、ネパールで同団体の代表のラジュ・サンダス牧師やバディ族の少女らと面会し、支援を決意。ゴスペル仲間の女性2人と同NPOを立ち上げた。
少女らの雇用創出を目的とした30秒コーヒーの販路についてラジュ牧師から相談を受け、カフェ運営を決めた。日本で経営システムを確立させてからネパール国内で開店し、バディ族の少女らが働く場として提供しようと考えている。
同店ではNPOのメンバーや協力者の女性2人が店舗スタッフとして働く。全員子育て中や子育てが終わった女性で同国の現状に心を痛めている。佐藤さんは「まずは来店して、コーヒーを通じてこうした現状を知ってほしい」と話す。
飲食物は1品500円程度での提供を予定。営業時間は午前11時〜午後5時。水、土、日曜定休。問い合わせは、同店(73―0889)へ。