東海愛知新聞バックナンバー

 11月16日【水】

環境守り半世紀

岡崎ゲンジボタル河合保存会が式典

岡崎市河合地区で国指定天然記念物「岡崎ゲンジボタル」の保護活動に取り組んでいる岡崎ゲンジボタル河合保存会(鈴木清美会長)が、結成50周年を迎えた。これを受け、全校を挙げて保護活動に参加している河合中学校で15日、50周年記念式典が行われた。(大山智也)

会員のほか、全校生徒、地区住民、内田康宏市長ら関係者約200人が出席。鈴木会長は「皆さんの応援をもらいながら環境を守り続け、50周年の節目を迎えられたのは喜ばしいこと。河合中学校の皆さんも、これからも活動を続けていってください」とあいさつし、同地区でのホタル保護活動の歴史などを紹介した。

続いて、出席した歴代の保存会長に感謝状を贈呈。同校での保護活動を主導する自然科学部の生徒による活動紹介もあり、これまでの歩みを振り返った。

戦後、食糧難解消のために農薬を多用した農業が進められた影響で河川が汚染され、良質な河川環境でしか生息できないホタルが全国的に激減。同地区でも、男川・乙川両河川の周辺に生息するホタルが数を減らした。

こうした状況の中、昭和41(1966)年に美合地区でホタルの保護活動に取り組む「生田蛍保存会」が河合地区でホタル鑑賞会を開き、参加した住民らにホタルを保存するよう呼び掛けた。その際、当時の栗太俊一郎会長から同校にゲンジボタル人工増殖の依頼があり、同校の古田忠久教諭の主導で理科部(現自然科学部)が人工増殖に挑戦した。

翌年に、古田さんを中心とした地区有志が保存会を結成。校内でのホタルの幼虫やえさとなるカワニナの育成、河川への放流を行うなどしながら地区を挙げて保存活動に取り組んでおり、現在は会員524人が所属している。

式典後には記念講演会も開かれ、米大リーグで活躍する「イチロー」こと鈴木一朗選手の父親で、自身も「チチロー」として知られる鈴木宣之さんが登壇。「自分自身が野球をやっていたからこそ、一朗にも野球をやってほしかった。3歳のころから毎日のように一緒に野球をしていた」と日本を代表する大リーガーの原点を紹介。かつて抱いたプロ野球選手という夢を託し、期待に応えた息子への思いを熱く語った。