東海愛知新聞バックナンバー

 9月9日【金】

ヤマトHD 豊田に中部GW

当日宅配の範囲広がる

ヤマトホールディングスは8日、同社の物流構想の中核を担う総合物流ターミナル「中部ゲートウェイ(GW)」を豊田市生駒町で竣工した。これにより、既に稼働中の関東圏の基幹ターミナルとの多頻度幹線輸送が可能となり、関東―中部間の宅急便の当日宅配も可能になる。来年には関西GW(大阪府茨木市)も竣工予定で、主要都市間での高速・高付加価値輸送の実現が期待される。(大山智也)

中部GWは、鉄骨造り6階建て、延べ床面積約6万5000平方メートルの基幹ターミナル。伊勢湾岸自動車道豊田南インターチェンジ(豊田市花園町)まで5分、名古屋港まで約30分、中部国際空港まで約45分と、物流拠点として好立地にある。10月1日から稼動予定。

同社が掲げる物流構想「バリュー・ネットワーキング」では、高速、高品質、低コストという物流のニーズに応えるため、関東、中部、関西の基幹ターミナルと沖縄国際物流ハブを合わせた新たな物流ネットワークの構築と、高い付加価値(バリュー)を与える輸送を柱としている。

中部GWでは、従来はほぼ手作業だった荷物の受け入れ作業を半自動化。さらに1時間で4万1250個の荷物の仕分け作業が行える「クロスベルトソータ」、建物の1階から5階まで直結されている荷物搬送用の「スパイラルコンベア」など、最新のマテリアルハンドリング機器も導入され、大量の荷物を高速かつ正確に処理できる。

中部GWで行われた竣工式には、同社の山内雅喜社長をはじめ、グループ会社、取引先事業所などから関係者が出席。山内社長は「中部GWは、バリュー・ネットワーキング構想の核となる拠点として誕生した。中部エリアは日本のものづくりの中心地。物流改革を行い、日本のものづくりを世界に推していく手助けをしたい」とあいさつした。

災害協定を締結

また、大規模災害に備えて豊田市とヤマト運輸による「災害時の物資輸送等に関する協定」の締結式も行われた。

協定書では

  1. 市が管理する備蓄品等の指定避難所等への配送
  2. 支援物資等の受け入れ拠点から指定避難所等への配送
  3. 市が管理する支援物資の受け入れ拠点の運営管理
  4. ヤマト運輸が管理する物資拠点の災害時の活用

―などを、主な項目として記載。太田稔彦市長とヤマト運輸の山口泰博三河主管支店長が出席し、協定に調印した。

太田市長は「東日本大震災や熊本地震を見て、支援物資の受け入れ、保管、速やかな輸送が手薄になっていることを痛感し、協定の締結を検討していた。西三河は製造業が盛んで、被災による国内経済への影響は計り知れない。この機会に関係を深められれば」、山口三河主管支店長は「地元行政と協力し、災害対策を中心に連携を深めたい」と話した。