今年は特撮テレビ番組「ウルトラマン」放送50周年。それを記念し、幸田町大草の都築仏壇店の都築数明さんが考案した「ウルトラマン」をモチーフにした仏具「ウルトラ木魚」の完全受注生産販売がこのほど、始まった。都築さんは「多くの人が伝統工芸に触れるきっかけになれば」と話している。(横田沙貴)
ウルトラ木魚は、愛知県内の木魚職人、三河仏壇の彫刻師、塗師、仏具の打敷職人が技術の粋を集めて制作。ウルトラマンの顔をかたどった「タイプF」(高さ10センチ、幅10.5センチ、奥行き11センチ)と、寺社などで利用できる「タイプF大」(20センチ、30センチ、40センチ)、立てるとウルトラマンの横顔になる「タイプS」(13.5センチ、10センチ、11センチ)の3種類がある。
それぞれクスの木材を削り出して制作。木目の位置は左右対称になり美しく見えるように工夫されている。タイプFとSは目を金色の塗料で塗装し、F大は金箔押しされている。座布団にはウルトラマンの胸元にある「カラータイマー」を模した刺繍があり、木魚をたたく道具「バイ」には同作主人公のハヤタが所属した科学特捜隊(科特隊)のトレードマークが彫り込まれている。
FとSは9万1,800円、F大は108万円。玩具製造・販売のメディコム・トイ(東京都渋谷区)の直営ネット通販サイト「C.J.MART」で30日まで注文を受け付けており、発送は来年3月下旬を予定している。
都築さんは平成25年、ウルトラマンを制作する円谷プロダクション設立50周年記念アート作品としてウルトラ木魚を初めて発表。同作第35話「怪獣墓場」で、科特隊のメンバーがこれまでに倒した怪獣を供養するシーンから着想。木魚完成後は、東京都港区の増上寺の人形供養など、各地で披露され、テレビやインターネットなどで話題を呼んだ。
また、今回の販売を通じて日本の伝統工芸について知ってもらおうという狙いもある。木魚は生産拠点が中国に移り、都築さんによれば木魚職人は全国でも愛知県内に10人程度という厳しい現実がある。
都築さんは「供養という日本独特の優しい風習がウルトラ木魚とマッチした。このコラボレーションは伝統工芸の業界に一石を投じる試み。商品を知ってもらうことで、今を生きる伝統工芸士を応援することにもつながる。(同サイトは)海外利用者も多いため、ウルトラ木魚が初めて海を渡るかもしれない」と期待感を示している。