名古屋大学を中心に、企業、自治体、大学などで構成する「名古屋COI拠点」は、65歳以上の高齢者を対象とした交通手段の提供と健康の見守りに関する実証実験を、20日〜3月末に豊田市足助地区の御蔵町と実栗町で行う。(大山智也)
名古屋COI拠点は、高齢者が元気になるモビリティー社会の実現に向け多様な事業を展開。今回の実証実験では、名古屋大学、豊田市、足助病院、東京大学の4者が連携し、新しい社会システムの構築を目指す。
実験内容は
―の3つで構成。実験に参加する2町の19人(独居高齢者9人、乗り合い車両の提供者ら10人)にタブレット端末を提供し、地区内の商業施設や公共施設などで行われるイベントの情報を発信することで、外出機会を創出する。
外出時は、タブレット端末や電話を通して利用者からの依頼を受け、地域住民による無料送迎サービス「あすけあいカー」、小型電気自動車、乗り合いタクシーを手配したり、地域バスの運行情報を発信したりして、交通手段の連携を図る。さらに端末に目的地を入力すると、最適な交通手段の組み合わせが表示される。
こうした移動範囲の拡大と合わせて、独居高齢者宅に人感センサーを設置して生活パターンを分析し、データ化することで、医療機関での助言や遠隔地に住む家族の見守りなどに役立てる。
市によると4月以降も、今回の実験結果を踏まえて対象地域や対象者を拡大し、交通の便が悪い中山間地域や高齢者人口の多い地域などで効果が見込める新たな社会システムとして、3年をめどに開発を進めるという。
足助地区(旧足助町)は、17年に豊田市に編入。27年12月1日現在の同地区の人口は8247人で、うち65歳以上の高齢者が3105人と約4割を占めており、地区の高齢化や過疎化が深刻な問題となっている。