愛知教育大学附属岡崎小学校6年3組の34人が20日、授業の一環として、岡崎空襲を記録する会代表の香村克己さん(87)=岡崎市中町=の戦争体験を聞いた。
同クラスでは、これから社会科で第二次世界大戦について学んでいく。その導入として、地元の戦災を知ろうと企画した。
香村さんは同市小呂町出身で、17歳の時に自宅で空襲を体験した。この経験を自作の紙芝居と合わせて紹介した。
当時、愛知第二師範学校(現愛知教育大学)で勉学に励んでいたが、戦争が激化した影響で安城市内の軍需工場で働くことになった。空襲があった昭和20(1945)年7月19日は工場が休みで岡崎にいた。20日未明、自宅の2階で眠っていたところ「バリバリバリー! ドシャーッ!」という大きな音で目を覚ました。窓の外を見ると、火の海となった岡崎の町が広がっていた。
燃えていたのは明大寺町や伝馬通り、中町などが中心で、自分の家の周りは大丈夫だろうと考えていた。だが、徐々に自宅周辺も火の手が近づいてきたため、裏山の防空壕に逃げた。自宅に焼夷弾が落ちた時は、父親と2人で消火に当たった。
夜が明けて同級生と岡崎の街中を見て回ったが、同師範学校は武道館と食堂を残して全焼していた。その時の様子を描いた紙芝居を見せながら、「燃える町を見て『とうとう岡崎も戦場になったんだ』と実感した」と、当時の心境を語った。
山本幸美さんは「香村さんの話で、焼夷弾や爆弾、戦争の怖さが今まで以上に実感できた。私の子どもの世代にも戦争の怖さを伝えたい」と話した。(横田沙貴)