東海愛知新聞バックナンバー

 3月28日【土】

現場の紅一点・塚本さん

岡崎森林組合 山に入り測量や間伐

岡崎市明見町の岡崎森林組合(眞木宏哉代表理事組合長)で、女性の現場職員が活躍している。豊田市伊保町出身で現在は明見町内に住む塚本実並さん(23)。山に入って測量や間伐の仕事をしながら、「将来は都市部の人にも気軽に山に親しんでもらえるような企画を考えたい」と夢をふくらませている。(大津一夫)

日本福祉大学で社会福祉を学び、実家近くの福祉施設に就職することが内定していた。しかし、小学生のころ祖父・鬼頭正春さん(74)に連れられて体験した山小屋づくりの楽しさが忘れられなかった。思い切って就職を断り、大学構内に掲示されていた求人案内を見て同森林組合に電話。事務所を見学したあと面接で採用が決まり、昨年6月から働いている。

組合の従業員は女性14人を含む40人だが、現場で働く女性は塚本さん1人。

測量はデジタル化され、望遠鏡のような器具(デジタルコンパス)を使って木の間隔を測り、位置関係をノートに書き込む。チェーンソーで間伐することもある。山に入ると、知らなかったハイキングコースが山頂まで続いていたり、早朝で居眠りしているウサギに遭遇したりした。

「山の所有者と一緒に行くこともありますが、所有者は自分が植えた木の一本一本を大切にしていることを知りました」

就職してすぐ、林野庁の補助事業で県が主催する「緑の雇用」現場技能者育成対策事業の研修会に参加。月2〜4回、県内の山林に出掛けて実習と講義を受ける。ここでも研修生11人のうち、女性は塚本さんのみ。重いチェーンソーを持って山に登るのは体力がいるが、中学生時代は柔道、高校生になって長距離走の選手だった塚本さんは「体力には自信があります」。研修は3年間続く。

「就職して、あらためて山の魅力を知った。多くの人にこの魅力を体験してほしい」と話す。

眞木組合長は「塚本さんは常に前向きで、てきぱきと仕事をこなしています。将来は森林を管理するプランナーになってもらえたら」と期待している。

岡崎森林組合は大正10(1921)年に設立された額田郡宮崎の「河原土工森林組合」が前身。組合員数3141人。組合員の所有森林面積は1万7000ヘクタール。