東海愛知新聞バックナンバー

 10月29日【水】

“絆”大筆で一気に

岡崎市北中 被災地応援の思い込め

東北と岡崎を結ぶ “絆 ”の字 ―来月8日に開かれる岡崎市北中学校の文化祭で、同校と交流がある宮城県石巻市湊中学校をはじめとする東日本大震災の被災地応援を目的とした、特別ブース「東日本大震災復興テント」が設けられる。これに先駆け28日、北中の1年生231人が、ブース内に展示する「絆」の一字を揮毫した。(大山智也)

被災地を応援するとともに、それぞれが思い描く絆について考え、文字に表すことで生徒自身の心に秘めた思いを見つめ直す場を設けようと、特別授業を実施。講師として、幸田町深溝の占部興順さんをはじめとする書家3人が招かれた。

最初に占部さんが書と書道の違いについて説明。「自分の考えや思いを筆、墨、紙を使って形にするのが書。普段表に出せない心の内を表現する場でもあります」と話し、続いて自身が書いた作品を披露した。

この後は、教員が全紙と大筆を使った書に挑戦し、続いて各クラスから代表生徒2人ずつの計14人が臨んだ。代表者は、最初こそ1畳弱もの大きさの紙を前に緊張した様子だったが、周りで見守る生徒たちの応援を背に受けて筆を取った。一度書き始めると、その勢いのまま一気に完成まで書き上げ、会場が歓声や拍手に包まれた。

全紙に挑戦した前田陽向君は「いつもの小さい紙と筆で手本の通りに書く習字と違って、全身を使って力いっぱい、思うままに書けたので気持ち良かったです」と笑顔で話した。

最後は全員が半紙に渾身の「絆」の一字を書き、納得のいく出来の作品に仕上げてから特別授業を終えた。

同校では、生徒会や3年生が中心となって3年前から湊中との交流を続けており、学校を行き来するなどして親睦を深めてきた。

今回の文化祭では、特別ブースで現地の特産品などを販売するチャリティーバザーや、この日書いた書の展示などを実施。震災を決して風化させないよう、文化祭を通じてあらためて全校の心を1つにする。売上金は全額、被災地へ寄付する。