東海愛知新聞バックナンバー

 9月12日【金】

光沢評価の仕組み解明

生理研の小松教授ら ものづくりへの応用に期待

岡崎市明大寺町の自然科学研究機構生理学研究所の小松英彦教授(神経生理学)らの研究グループは、脳が光沢を評価(識別)する仕組みを明らかにしたと発表した。

小松教授らは、光沢の強い物体表面において光の反射で特に明るくなる部分(ハイライト)と、明暗差のコントラストが光沢を知覚するという心理実験結果を基にして取り組んだ。

ニホンザルの記録部位に当たる下側頭皮質の神経細胞の動きを極細電極を使って観察。ハイライトのコントラスト、鋭さ、物体自体の明るさを変化させた画像を見せ、それぞれの神経細胞の反応を調べた。記録された反応を解析し、下側頭皮質の神経細胞はハイライトのコントラスト、鋭さ、物体の明るさの3つの指標(情報)を基に光沢を見分けていると結論付けた。

小松教授は「素材や質感を認知するのは光沢。今回の結果を応用すれば、人間と同じように光沢を認識できる機械を作ることにもつながり、ものづくり産業に役立つのではないか」と期待感を込めた。

研究成果は米神経科学専門誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」電子版に掲載されている。(竹内雅紀)