三方ヶ原の戦いや伊賀越えと並び、徳川家康の三大危機の1つに数えられる三河一向一揆に焦点を当てた「三州一揆と一向宗展」が5日、岡崎公園内三河武士のやかた家康館で始まった。11月30日まで開かれ、期間中に一部展示品の入れ替えがある。(大山智也)
三河一向一揆は、永禄6(1563)年に西三河地域を中心に起きた、一向宗(浄土真宗本願寺派)の門徒による武力蜂起。その発端については諸説あるが、一説によると、家康が領内の親今川派との衝突に備えて一向宗寺院の不入権を犯して兵糧米を徴収しようとしたことに対して門徒が反発して起きたとされる。
当時の西三河地域には、本願寺八代宗主の蓮如上人らによる布教活動の影響で多数の門徒がおり、一般の門徒だけでなく家康の家臣の一部も一揆方に味方した。
最終的には主君への忠誠心が勝り、家康の下に帰参する者が増え収束に向かったが、一時は岡崎城にまで攻め込むなどして家康を窮地に陥れたことから、三大危機の一つとして挙げられている。
会場では、一揆や一向宗の概要について展示品とパネルで紹介。期間中は、松平氏の譜代家臣だった大久保忠教によって書かれた「三河物語」や、家康と家臣16人が並ぶ「徳川十六神将図」など6点を常時展示し、他に期間限定が18点。
10月1日までは、一向宗の布教に尽力した蓮如上人の木像、徳川家康の絵図などを展示し、一向宗の成り立ちや信仰といった概要を紹介する。同3日〜11月5日は、一向一揆の舞台の1つとなった岡崎市針崎町にある勝鬘寺の所蔵品を公開。同7日からは僧侶に焦点を当てた展示となる。
入館料は大人360円、小学生以下の子ども200円。市内在住の中学生以下または65歳以上、障害者手帳の所有者などは無料。開館時間は午前9時〜午後5時。
問い合わせは家康館(24―2204)へ。