東海愛知新聞バックナンバー

 7月20日【日】

戦争犠牲者を追悼

遺族ら1100人 岡崎で平和祈念式

岡崎市内で19日、戦争で犠牲となった人を追悼するとともに、未来の平和を願う祈念式典と慰霊祭が行われた。参加者は、岡崎に住む人々に甚大な被害をもたらした岡崎空襲をはじめ、戦争の中で奪われた多くの命に対して祈りをささげ、あらためて命の大切さと平和の尊さを見つめ直した。(大山智也)

市民会館では岡崎市が、戦没者と戦災で亡くなった人を追悼する平和祈念式を挙行。遺族、来賓、一般参加者計約1100人が出席し、黙祷や献花をするなどして、厳かな雰囲気の中で行われた。

内田康宏市長は、式辞の中で「終戦から69年の歳月が過ぎ、戦争を直接知る世代の方が少なくなっていますが、多くの市民が戦争の犠牲として亡くなったことは、未来永劫忘れてはならない深い悲しみの記憶です。悲惨な戦争の教訓を風化させることなく、平和の尊さを次の世代へと語り継ぎ、2度とあのような悲劇を繰り返さないことが、私たちに課せられた責務です」と述べた。

遺族を代表して、長年戦没者の遺骨収集や遺族の支援事業に取り組んでいる、市遺族連合会の上原久会長があいさつ。「今もなお、ふるさとの肉親のもとに帰れない御霊が多くあります。現在の豊かで平和な生活が、多くの犠牲の上に築かれていることを深く心に刻むとともに、決して忘れてはなりません」

式典の後には、上原さんによる講演会が開かれ、サイパン島付近で戦い、現地で亡くなった父・三郎さんや、自身が取り組んでいる遺族支援事業などについて話した。

市民団体 岡崎空襲の慰霊祭

康生通西2の岡崎シビコ西広場では、岡崎空襲の慰霊碑をまもる会(岡田亮一会長)と岡崎空襲を記録する会(香村克己代表)による、市内で69年前に起きた岡崎空襲の慰霊祭が執り行われた。

岡田会長を含む約40人が参列。慰霊祭の開始30分ほど前には雷が鳴り響くなど荒れ模様だったが、天候が回復し、予定通り午前9時ごろスタートした。

黙祷の後、岡田会長が「被災した当事者や遺族の高齢化によって、被害や教訓が風化しつつあります。そう考えると、先ほど鳴った大きな雷は、私たちに『戦争を、岡崎空襲を決して忘れてはならない』という警鐘のようにも思えます。悲惨な戦争を繰り返さないためにも、市民一丸となって語り継ぎましょう」とあいさつした。

参列者は、実際に岡崎空襲を目の当たりにした人の体験談を聞いたり、広場内の慰霊碑に献花したりして平和と反戦を誓った。