岡崎空襲を記録する会(香村克己代表)がこのほど、「岡崎空襲体験記第4集・総集編」を発刊した。戦争や昭和20(1945)年7月20日の岡崎空襲体験者らの証言などを基に製作。前作から6年ぶりとなる体験記は「手作りの平和遺産」として、後世へ語り継ぐ資料の役割が期待されている。(竹内雅紀)
同会は第1集(昭和51年発刊)製作のために有志が集まり、前年の50年に結成。自らも岡崎空襲を経験した元小中学校教諭の香村代表も立ち上げ時からのメンバー。
第4集の製作には約2年を費やした。市内外の45、6人の証言や投稿、会で調査したことをまとめ、体験文72点、体験画20点、当時の町の復元図、戦中の写真、防空壕の分布図などを掲載。また、総集編と位置付けたため、これまでの会の活動や1〜3集の目次一覧も載せた。
当時の様子を「生き地獄だった」とする表現、焼夷弾が突き刺さったまま収容所に運び込まれた人を見た実体験、六所神社の裏山に築かれた1000人規模の防空壕など、貴重な記憶や記録が本には詰まっている。香村代表は「今まで誰も触れていない内容もある。戦争から69年が経とうとしている今でも、胸をつかれるような克明な文が集まり、体験者の切実な思いをつなげた資料となった。戦争や岡崎空襲の傷跡は深い。私たちが後世に伝えなければいけない」と、100年後にも残すべき資料づくりに取り組んだ経緯を話す。
特定秘密保護法の成立や集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定など平和を脅かす状況が加速している情勢に香村代表は「歯止めをしないと戦争に加わることになる」と危惧し、「体験記では、単なる体験だけではなく平和への願い、メッセージが読み取れる。もう戦争はこりごりだ」と強調する。
A5判、361ページ。2000部発行。1,200円。7日以降、各地の書店で販売される。問い合わせは、同会(23―0798)へ。
同会は第4集出版記念として、5日に市竜美丘会館で投稿者と会員による会合を開く。また、19日午前9時から康生地区のシビコ西広場にある岡崎空襲の慰霊碑の前で市民慰霊祭を開く。現在、参加者を募集中。29日から8月5日までは、市図書館交流プラザ(りぶら)で恒例の「岡崎空襲と戦争 りぶら展」。期間中の4日は戦争体験を語る会がある。