4月にオープンした岡崎市牧御堂町の障害者就労継続支援A型事業所「ピュア・ハート」で、母の日に向けたカーネーションの出荷が最盛期を迎えている。事業所で働く身体・精神障害者らは明るく豊かな表情で働いている。(竹内雅紀)
障害者と雇用契約を結ぶA型事業所は市内に7カ所。同市緑丘2の次井生花から業務委託を受ける「ピュア・ハート」では現在、岡崎市や幸田町、蒲郡市から19〜40歳の男女7人が働いている。軽度の身体・精神障害者で、主に梱包や出荷、納品された花の下処理、パック詰めなどの加工作業を行う。
次井生花社長で、事業所の職業指導員を務める次井克則さん(49)は「彼らが生き生きして働いているのが分かる。花を扱うことでふさぎ込みがちだった心を開き、表舞台に進出できるお手伝いができれば」と話す。昨年、心筋梗塞を患って入院、手術した。障害者が抱く「働きたくても働けない悔しさ」への理解を深め、完全業務委託を決めた。
事業所社長は次井生花元従業員の成瀬ミユキさん(38)。「真面目で素直な人が多いので、掛ける言葉は気をつけている。日々勉強」。従業員の7人には裏方として単純作業だけではなく、人と接する機会を増やして社会進出をサポートしようと計画している。
最近では、デイサービスの事業所に届ける花の注文が増えている。従業員は冷蔵庫から花を選別して束ねる仕事に取り組む。勤務時間は1日4時間で週20時間。時給は780円。双極性障害の岡崎市在住の男性(29)は「スタッフが親切で分からないことは何でも聞ける。花の名前を覚えるのは大変だけれど、働きやすい環境。これまでは工場関係が多かったので新鮮」と笑顔で答える。蒲郡市在住の男性(32)も双極性障害。「花に触れるのは楽しいし、仕事がやりやすい。将来的には、三河地方で盛んなものづくりの仕事に携われたら」と話す。
ピュア・ハートでは今後、従業員の労働時間延長やイベント会場での花の設置、移動販売にまで幅を広げ、最大枠20人雇用を目指し、従業員が一般就労の域まで成長できるよう見守る方針。花の注文は次井生花(54―4460)、就労に関する問い合わせは同事業所(54―5733)へ。