岡崎市内でこの時期の“風物詩”が展開されている。武者絵幟の出荷と葵桜の開花。いずれも一足早い春の到来を告げている。(竹内雅紀、大津一夫)
岡崎市唐沢町の老舗鯉のぼりメーカー「ワタナベ鯉のぼり」で、端午の節句に男児の成長を願う「武者絵幟」の出荷が最盛期を迎えている。
武者絵幟の長さは5.4メートルから10.8メートル。売れ筋は家紋入りの7.2メートルで10万円。絵柄は立身出世の象徴である太閤秀吉や、武田信玄と上杉謙信が激突した川中島の合戦などが人気。徳川家康と徳川四天王、龍、鷹、虎などの注文もあり、室内用のモビールやタペストリータイプの鯉のぼりの需要も増えているという。
同市福岡町の同社工場では、職人や従業員が木綿に箔や10種類以上の顔料を施し、色鮮やかな幟を天日干しにして仕上げを行っている。渡辺要市社長(65)は「住宅事情や少子化などでサイズが小さくなってきているが、子どもたちのためにこれからも一生懸命作りたい」と話している。
同社は全国へ約500本出荷する。
岡崎市竜美丘会館北の乙川沿いの堤防で、早咲きの葵桜が咲き始めた。品種は河津桜。14日現在三分咲きで、来週が見ごろという。
同会館から竹橋までに86本がある。桜の世話をしている「葵桜の会」代表の三橋美千子さんは「ようやく咲き始めました。今年は寒さのため、例年より開花が10日ほど遅い」という。連日、市民が淡いピンクの花を楽しんでいる。
東明大寺町の三橋さん宅のガレージでは、花の季節に合わせてフリーマーケットが開かれている。食器や衣類などを中心に家庭用品が並び、花見を兼ねて立ち寄る人でにぎわっている。