岡崎市内の中小企業3社で大学生4人が半年間のインターンシップに励んでいる。単なる就業体験ではなく、各企業の一員として新規プロジェクトに携わる実践的な取り組みは極めて珍しい。企業は人材育成や新境地開拓と位置付け、学生は職業観の醸成や意識変革のきっかけにしたいと考えている。(竹内雅紀)
長期実践型インターンシップは市内の中小企業支援や若者の雇用推進が目的。市雇用対策協議会が、先行実績を持つNPO法人G-net(岐阜市)やコラボキャンパス三河(岡崎市)へ委託している。受け入れ企業とのマッチングを経て、市内3社に4人の大学生の“就職”が決まった。
福岡町で英語と中国語を学ぶ保育施設や語学教室を経営するクローバーインターナショナル(奈良健太郎社長)は、女子大生2人を“採用”した。名城大3年の鈴木麻友さん(21)=豊川市=は8月から、愛知淑徳大2年の船井蘭さん(19)=名古屋市=は9月から。「すぐやる課」の2人は、従業員からの意見をまとめて倉庫だった部屋を休憩室に改造した。現在、保育施設に通う幼児やその保護者に無償配布する名刺を考案中。ゲーム性のある物にしようと工夫を凝らしている。
それぞれの受け持ちもある。鈴木さんは同社をPRするプレスリリース作りやホームページの刷新、船井さんは国際交流に関係するNPO法人立ち上げの支援を担当する。鈴木さんは「周囲の協力もあって仕事ができている。いずれは自分がほかの人の背中を押せるようになりたい」、船井さんは「アルバイトとは違い、やりがいや達成感がある。自分を変えるきっかけにしたい」と話す。
奈良社長は「新しい空気を入れることでプラスにつながればいい。机の上では学べないことを学んでいってほしい」と見守る。2人には月額数万円の給料と交通費が支払われており、期間終了後には成果報告がある。
市内では、ほかにあいち補聴器センター(吹矢町)と大和商会(大和町)が大学生を半年間受け入れている。