岡崎市は10日付で六供町の旧石原家住宅と藤川町の旧野村家住宅(米屋)の町家建築2件を景観重要建造物に指定した。市内の指定は岡崎城天守、六供配水場配水塔に次いで3、4例目。民間の建築物は初めて。7月29日の市景観審議会で答申された。(竹内雅紀)
旧石原家住宅は主屋と土蔵が1棟ずつあり、ともに幕末の安政6(1859)年建築。主屋は2階の天井が通常より低い木造つし2階建て約163平方メートル。「つし」とは天井や屋根の下に造った物置き場のこと。米穀業・金融業を本業とする商家の町家として建てられたが、間口が広く奥行きを浅くした農家形式を採用した点は珍しい。北側道路に面して建てたため、南側に居室を設けて裏庭と一体化させ、居住性を高めたのが特徴。土蔵は主屋の南側に建てられ、木造2階建て。
平成23年には国の登録有形文化財にも指定されている。町家の中でも主要な建造物の1つで保存状態もよいことから選ばれた。
旧野村家住宅(米屋)は主屋が1棟で、江戸時代後期の天保年間(1830〜1844)建築と推定される。木造つし2階建て約193平方メートルで、米屋だった。戦後は薬局となったことから外観は大きく改修されたが、間口や奥行きの広さや内部の柱や梁(はり)の構造は町家の面影が残る。かつての藤川宿の姿につながる建造物であり、「風景」として宿場町の景観を保全する観点からしても重要とされる。
昨年指定された藤川地区景観形成重点地区内で現存する町家の中でも代表的な建造物に位置付けられ、今後の街並み整備の参考になるとして選ばれた。