4月に岡崎市から「岡崎アート広報大臣」に委嘱されたご当地キャラクター「オカザえもん」が今、話題だ。独特な風貌と奇妙な動きには賛否両論あるが、結果として岡崎のPRに一役買っている。就任から間もなく3カ月を迎える大臣は各メディアの取材やイベントに引っ張りだこ。勢いづくオカザえもんから目が離せない。(竹内雅紀)
オカザえもんは昨年11月、あいちトリエンナーレ地域展開事業「岡崎アート&ジャズ2012」で姿を現した。もともとは日進市出身の現代美術作家・斉と公平太さん(40)の「作品」だった。
イラストではかわいらしさもあるが、着ぐるみは細身で目がギョロっとして不気味。「岡崎」を体現し、胴長なためか礼儀正しくおじぎもできる存在だ。年配者は敬遠する傾向が強く、泣きじゃくる子どもも多い。好意的なのはネットに親しみがある若い世代だろう。斉とさんは「賛辞もバッシングもあるが、小さなイラストから始まったキャラクターがここまで発展するとは正直驚いている。感謝するとともにうれしい」と話している。
最初は見向きもされなかったオカザえもんだが、フェイスブックやツイッターなどで小まめに情報発信し続け、じわじわとファンを増やしていった。アート&ジャズ終了後も独自の活動で岡崎をPRしていたことが大臣就任へとつながった。
当初は「高校の文化祭レベル」と酷評していた内田康宏市長も最近では「好きか嫌いかで言うと嫌いだが、毛嫌いはしていない」と述べ、上着にオカザえもんピンバッジを着けている。自身のブログは皮肉にもオカザえもんに触れた時に最多アクセス数を記録。市議会6月定例会の一般質問でもオカザえもんを取り上げる議員が複数いて、理事者側答弁でご当地キャラ総選挙地区予選(結果発表は7月上旬)への投票依頼があったほど。担当する市文化総務課は「キモかわいいキャラが先行した。委嘱時は岡崎の文化・芸術のPRがもくろみだった。今後はアート広報大臣の本来の役割とご当地キャラの両面でPR効果が得られる活用を図りたい」としている。
メディアやイベントへの露出も増え、関連グッズの売れ行きは好調。「あのオカザえもんがいる岡崎」と言う市外の人も多数いるほか、九州に住む「岡崎さん」(名字)からは市役所あてに「息子が学校でオカザえもんと呼ばれていじめられている」という声が寄せられるなど、異常な事態にまで影響が及んでいる。
しかし、生みの親である斉とさんは現状には満足していない。「話題にはなっているが、大臣としての目標は観光客を増やすこと。具体的には岡崎公園に来る人が来年3月末の時点で前年の2倍になっていないと本当に岡崎のPRに貢献したとは言えない」と結果にこだわっている。
オカザえもんは、あいちトリエンナーレ2013(8月10日〜10月27日)やジャズの街岡崎をPRするため、ジャズ演奏メンバーとともにキャラバン隊を結成。7月1日にデビューイベントを岡崎城二の丸能楽堂で行い、「おかざきコウエンナーレ2013」(7月27日〜11月3日)の期間中は原則毎週金、土曜日午後3時から岡崎公園内でジャズの演奏に合わせてパフォーマンスを披露する。