岡崎市八帖町の八丁味噌の老舗「カクキュー」で3日、創業(1645年)当時使用されていたとされる大豆「矢作」を使った八丁味噌の仕込みが始まった。「矢作」の仕込みは平成22年にスタートし、今年が3回目。初回の「矢作」は今年の秋には商品化される。(竹内雅紀)
同社によると、「矢作」は矢作川流域で栽培されていたとされる愛知県の在来種。7年ほど前に存在を知り、19年に種子を入手した。
当初は社内のプランターで栽培する程度だったが、21年から同市岡町の小久井農場で本格的に栽培を始めた。一般的な三河産大豆「フクユタカ」に比べて、土地の条件や天候によって収穫量が左右されやすく、23年は大豆の不作で仕込みができなかったという。
この日は、直径、高さともに1.8メートルのスギ製の味噌桶に入った約4トンの「矢作」に3トン分の石を職人が積み上げて仕込みをスタートさせた。商品として世に出回るのは3年後になる見込み。
また、代表社員の19代目早川久右衛門さんが木札に「矢作」と毛筆で書き、桶に取り付けた。早川さんは「創業時の原点に戻りたいと思って取り組んだ。大豆の優秀さでは劣るかもしれないが再現した。通常は2夏2冬熟成させるが、さらにもう1年かけることで何とか味がまとまる。最初に仕込んだものが秋には商品化できる。楽しみにしていてほしい」と話した。