師走決戦となった衆院選は後半戦に突入した。選挙運動期間はきょうを含め残り5日。5人がしのぎを削る愛知12区(岡崎・西尾市、幸田町)の情勢を追った。(竹内雅紀)
民主前職の中根康浩氏(50)は「大変厳しい戦い」と連呼する。政権与党の実績をアピールするが、有権者からは「前回は期待したが…」との声もあり、無党派層の票が他党へ流れるのを恐れている。
8日に岡崎で開いた総決起大会では、連合愛知幹部が「自民と同じ土俵に乗れていない。一歩踏み出した声掛けを」と奮起を促した。公示日には早稲田大学同期の安住淳幹事長代行、9日には細野豪志政調会長が応援に駆け付けた。
党への支持が復調気味で勢いに乗る自民新人の青山周平氏(35)は、「地域に根を張り、地元の声を聞くのが自民党。頼るのは人と人の絆しかない」と強調。地道に個人演説会や企業・団体回りを重ねて票固めを行っている。
立候補者の中で唯一の選挙初挑戦だが、10月の岡崎トリプル選で自民系候補の応援弁士として顔を広げた。10日には小泉進次郎党青年局長が来岡し、気勢を上げた。
第三極の一角、維新新人の重徳和彦氏(41)は自転車遊説が中心。民主、自民のような固い地盤や組織がないため「票が読めない」(選対幹部)が、昨年の知事選に出馬した知名度と語り掛けるような演説で反民主、反自民票の獲得を狙う。西尾市の佐久島などまで精力的に回り「歴史的な大転換のチャンス」と主張。7日には前横浜市長の中田宏党政策顧問が応援に駆け付けた。
公示2日前に無所属から未来に移った元職の都築譲氏(62)は西尾市に拠点を構える。旧一色町の町長だったこともあり、市内での地盤固めをし、大票田の岡崎にも足を伸ばす。官僚、参院議員、衆院議員、町長という豊富な経験を生かして、8年ぶりの国政復帰を目指す。6日には18年来の知人という河村たかし名古屋市長、10日は党代表の嘉田由紀子滋賀県知事が岡崎で背中を押した。岡崎での浸透が今後の鍵になる。
10月の岡崎市議選にも出馬した共産新人若山晴史氏(64)。党の公約を前面に街頭活動で地道に訴える。「政党の離合集散が繰り返される中で共産党だけがぶれずに一貫している」と訴え、無党派層への浸透を図っている。
どの陣営も凍てつくような寒さには困惑。師走のせわしさもあり、低投票率の懸念を示す陣営もある。