三河地方の中国人らでつくる市民団体「岡崎中国人協会」(OCA)が4日、岡崎市竜美丘会館で開かれる「おかざき多文化共生フェスティバル2012」に出展する。尖閣諸島をめぐる日中両政府の関係が行き詰まり状態にある中、OCAは「政治と民間交流は別」と、変わらない姿勢で交流を図る。(今井亮)
本番を控えた27日夜。同市図書館交流プラザ(りぶら)で開かれた、OCA役員9人の打ち合わせは「イベントを盛り上げよう」と活気に包まれた。
当日に予定している本場の食材を使った中国料理の紹介、二胡演奏や中国民踊などの出し物、会場BGM、会場設営などを確認。知人から知人へと輪を広げ、1回目の昨年より“手作り感”を色濃く出すという。
現在の日中関係に関して、OCAは「政治的問題には言及しない」との姿勢を貫く。「民間交流に影響はない。これまで通り活動を続けていくだけです」と会長の陳佳平さん(60)=同市天白町=は強調する。
3年前に発足したOCAには中国人だけでなく、中国人配偶者のいる日本人も在籍する。打ち合わせが進むうち、中国人と日本人の役員は、個人の立場で胸中に抱くさまざまな思いを話した。
ある役員は「困ったものだ。とても良くない状況で双方の損でしかない」ときっぱり。別の役員は「政治家同士の対話が円滑でないことが最たる要因なのでは」。しかし、出てきたのは「(市民の)自分たちにはどうしようもない」という、ため息だった。
市民協働推進課国際班の太田義男班長(53)は「もちろん日中関係の安定化を望んでいますが、交流は交流。国籍という意識を取り払い、同じ市民として外国人が地域に溶け込んでいく動きを応援していきたい」と話している。