東海愛知新聞バックナンバー

 5月4日【金】
伝統的工芸品産業

■岡崎の三浦さん功労賞

作り手部門チャラボコ太鼓を製作

岡崎市六供町にある和太鼓製造販売業三浦太鼓店の三浦宏之さん(56)がこのほど、伝統的工芸品産業振興協会主催の伝統的工芸品産業大賞作り手部門の功労賞を受賞した。三河地方に伝わるチャラボコ太鼓を製作し続けていることが高く評価され、県内でただ1人の受賞となった。(竹内雅紀)

「当たり前のことをやってきたつもり。認めてもらえたことは素直にうれしい」

江戸時代末期(1865年)創業の老舗太鼓店の5代目は照れながら話す。チャラボコ太鼓は、江戸時代に三河地方を中心として広まった高い音色が特徴的な太鼓。皮を強く張ることで高音が出やすくなる。祭りでは欠かせない道具として重用される。同店では創業時から作っている。

現在、県内でチャラボコ太鼓を製作しているのは、同店と知立市の太鼓店だけ。「需要は少ないが、伝統の太鼓はやめてはいけない。その思いだけで続けている」と意地を見せる。

戦後、レジャーの多様化で地域の祭りが縮小や廃止となり、チャラボコ太鼓の登場機会も減ってきたが、最近は趣味で太鼓を購入する人が増えてきているという。市内では、細川小学校にチャラボコクラブがあり、毎年定期的に演奏している。

今後については「人手、資金、指導者などの課題はあるが、各地域で昔の祭りが復活することが理想」とした上で、「太鼓製作を通して各地域の伝統継承のお手伝いができたら最高」と目を輝かせた。