幸田町の玄関口であるJR幸田駅前の再開発が進む中、先駆けとして食をテーマした複合施設が来年春にオープンする。同時期には町北部の相見地区に町内3つ目となるJR新駅が完成。「駅を中心としたまちの活性化を加速させたい」と関係者らは変貌(へんぼう)へ意気込んでいる。(竹内雅紀)
町が手掛ける幸田駅前土地区画整理事業は、平成18〜27年度の10年間に駅東側の約2.9ヘクタールで道路拡張や商業施設、公園建設などの都市基盤整備を行う。総事業費は約52億3,000万円で、町が半分負担。事業費ベースでの進ちょく率は約2割程度。建物移転は今年1月末現在で、80軒中38軒が終了している。
その一角で先導的な役割を担うのが、来年3月をめどにオープンする食をテーマにした複合施設だ。駅前ロータリー向かいの1,320平方メートルの敷地に地元食材を活用した飲食店を7、8店並べる。2階建て構造の回遊式で計画されている。店舗の延べ床面積は660平方メートルで、今年夏ごろ着工予定。
複合施設の施工主は地元商店主や地権者らでつくる「幸田駅前地区共同ビル建設組合」。1日平均の乗降客が約4,300人の同駅前の活性化と他駅との差別化を図ろうと企画し、街づくりプロデューサーの石黒靖敏さんに総合プロデュースを依頼した。
石黒さんによると、複合施設は同町をはじめ岡崎市南部、西尾市東部、蒲郡市を主な商圏とし、年間で25万人の来場を見込んでいる。石黒さんは「町の顔となるような駅前の活性化はもちろん、潜在的な需要の掘り起こし、触れ合い創出の場としても期待できる」と話している。
1月末には、出店希望者らを集めた説明会が行われ、約20人が出席。岡崎市や幸田町の5、6社が興味を示しており、2回目の説明も検討中という。
複合施設の対面には、住環境整備のための共同住宅ビルが建設される予定。同町は、JR三ケ根駅と幸田町民会館一帯を含めた「3駅プラス1」を社会基盤の戦略的方針として掲げており、玄関口の再開発は今後の命運を握る最重要課題と位置付けている。