東海愛知新聞バックナンバー

 11月10日【水】

岡崎の伝統工芸士 経産大臣表彰

石工品と三河仏壇

11月3日に山口県萩市で開かれた第27回伝統的工芸品月間国民会議全国大会で、岡崎市在住の石工職人原田一男さん(64)=上佐々木町=と三河仏壇彫刻師大竹勇さん(67)=坂左右町=が、伝統工芸士部門で経済産業大臣表彰を受けた。ともに三河地域を代表する伝統産業に約半世紀従事。磨き上げた技術に誇りを持つ2人に話を聞いた。(竹内雅紀)

■原田一男さん(64) 「時流に合う灯籠作り」

「先輩方やお客様との出会いのおかげで今日の私がある。感謝している」

中学卒業後、定時制高校に通いながら石工職人だった父松男さんのもとで修業を積み、基礎を学んだ。昭和53(1978)年に石松石材商会の2代目代表に就任。「父の教えは厳しかったが、見習いの4年間で基本を覚えた。家業を継いだのは自然な流れ」

平成元年に伝統工芸士に認定され、13年から2年間、岡崎石工品伝統工芸士会長。現在、岡崎石工団地協同組合職業訓練法人岡崎技術工学院などの理事を務める。

専門は灯籠(とうろう)。全体のバランス、曲線、繊細さをポイントに挙げ「手作業でいかに魅せるか、時流に合った物を造るかが伝統的な灯籠」と語る。奈良・春日大社や東京・靖国神社などへ灯籠を納入した経験を持つ。

次世代への技術伝承を今後の使命としながら生涯現役を誓う。

■大竹勇さん(67) 「人目を引く彫刻技術」

「恐れ多いが、認めてもらったことで励みになる。組合などに恩返しをしたい」

三河仏壇八職の1つである彫刻の世界に15歳で入門。20歳で独立した。伝統工芸士には平成9年に認定され、三河仏壇振興協同組合の副理事長を6年間務めた。

これまでに500本以上の仏壇に携わってきた。「お客様の目に止まるような彫り物を目指している」と強調。100本以上ある彫刻刀の握り部分を微調整して龍や雲、獅子、天女などを彫る。龍城神社にある龍の彫り物は代表作の1つ。

平成20年に地域ブランドに認定された三河仏壇だが、組合加盟の彫刻師は現在12人で、全盛期の4分の1以下になった。「時代のニーズに合った物にも取り組む」。今後は、若手の育成と技術開発を推進に力を注ぐ。


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