岡崎公園の名物、花時計が設置されてから50年がたった。年に4回、季節にふさわしい花に植え替え、市民や観光客の目を楽しませている。あす10日の「時の記念日」にちなみ、花時計の心臓部を見てみようと、定期メンテナンスに合わせ花壇下の機械室に入った。
花壇は8日、夏の花に衣替え。ニチニチソウ(日々草)とアメリカンブルーを計1800株植えた。テーマは「公園の夏」。青空をバックに赤い太陽、白い雲、紫色のリボンを巻いたピンクの帽子をあしらった。
岡崎公園を管理する岡崎パブリックサービスの都市公園課長、平澤利幸さんは「花壇が地表より1.4メートル下の“盆地”にあるので、暑い盛りに熱がこもりやすく、花が傷まないよう気を配っています」と話す。
定期メンテナンスは年に4回、花の植え替え前に行う。4日、担当するリコーエレメックス岡崎事業所(井田町)の社員3人が訪れた。花壇の「3」時の文字盤脇にあるマンホールから機械室へ。
まず主電源を切り、針を順に外して汚れをふき取った後、主軸に油を差した。針の芯は鉄製で、硬い合成樹脂を針の形に成型した板で覆ってある。
機械室の天井の高さは1.5メートル、奥行きは5メートル。モーターでギアボックス内の複数の歯車を回し、連結した円錐(えんすい)型の傘歯車が、主軸の傘歯車とかみ合い針を回転させている。
歯車を点検し、ギアボックス内の潤滑油を入れ替えた。「車のエンジンオイルと同じようなもの」と社員の1人。設置から半世紀を過ぎ、既製の部品はない。必要になると同社で特別に造るのだという。「老体ですが、よく頑張ってくれています」
停電すると当然ながら針は止まる。回復後、機械室に入り、ギアボックスに付いている時計で時刻を確認。手動ハンドルで針を合わせてから通電する。
池の水があふれ、機械が水浸しになることはないのだろうか。一昨年の8月末豪雨の時はどうだった?
「大丈夫でした」と平澤さん。水を逃がす排水口が池の壁面にあり、「針は正常に回ってくれました」。関係者の陰の努力で、花時計は51年目の時を刻んでいる。
日本最古の花時計は昭和32年、神戸市中央区に設置された。大きなものは北海道音更町、静岡県土肥町、宮崎県綾町などが有名。いずれも花壇の周りに池はなく、見やすいように花壇を丘陵状にして傾斜がつけてある。