川柳専門の新葉館出版(大阪市)から100人を目標にシリーズで発刊されている「川柳作家全集」の1冊に、岡崎市羽根町の川柳作家・會田規世児さん(79)の句集が加わった。作家活動を始めて60年になる記念の年に、初めての個人句集が出版された會田さんは「100人の1人に選ばれたことに意味がある。作品を読んで『うふふ』と笑ってもらえれば」と話している。(大津一夫)
會田さんは18歳で川柳を始めた。昭和26(1951)年、当時、川柳の第1人者だった川上三太郎が岡崎を訪れたのを機に、稲吉佳晶さんと岡崎川柳研究社を設立。現在、同結社の主幹を務め、会員らの作品を集めて月刊『川柳岡崎』を発行している。
句集には、20年間の作品の中から約300句を自選。「毎日の中で」「人生の残り時間」「翔(と)べる明日」の3章に分けて載せた。
「読み返す母の便りと日向(ひなた)ぼこ」「針箱に貯(た)めてあるのは母の愚痴」など母親を題材にした作品や、「半額で買って半分を捨てている」「灰皿の煙のいきつくとこ咳(せき)」など、最近の世相を皮肉った作品も並ぶ。
會田さんは「あとがき」で、「思い掛けない事の連続の人生の中から生まれた作品です―中略―思い掛けない出来ごとの、1つ1つにかくれた人がいるのですから、感謝しなければいけません」と書いている。
A6判、127ページ。1冊1,050円。