岡崎市八幡町の和ろうそくの老舗「磯部ろうそく店」が、ものづくりに優れた県内の企業を県が認定する今年度の「愛知ブランド企業」に選ばれた。市内では16社目。匠(たくみ)の技を受け継ぎ創業300年。9代目の磯部亮次さん(46)は「これまでの方向性とこれからの方向性が現代に合っていたことが認められました」と喜びを語っている。(今井亮)
伝統的な技法で、江戸時代から手作りにこだわる同店。その技法から生まれたろうそくは、火をともしても蝋(ろう)が垂れず、風にも消えにくい特長を持つ。
同店では一般家庭の仏壇で使うろうそくをはじめ、神社・仏閣で扱われる大きなサイズのものや、四季の花や浮世絵を描いた「絵ろうそく」シリーズ、アートキャンドル(要注文)と幅広く展開。それぞれのろうそくに合った燭台も充実している。
13年前には福岡県久留米市の外郭団体からの依頼で、先代が120日間をかけて、高さ約1メートル、直径約53センチ、重さ100キロの「日本一の和ろうそく」を製作したことがある。先代の技術を受け継いだ磯部さんは、伝統工芸の技で新たなものづくりに挑戦する「おかざき匠の会」の会員にも名を連ねる。
認定式はきょう9日に県庁で行われ、同店を含む21社が認定される。
磯部さんは「製造業のハイテクと同じように評価してもらい恐縮していますが、ものづくりに対する気持ちは同じです」と語り、「地域に根差した事業体として自信を持ってまい進したい」と決意を新たにしている。