非常に強い台風18号は8日未明、愛知県の知多半島付近に上陸した。過去10年間で最大級という台風は西三河地方にも、負傷者をはじめ、倒木による車道の通行止めや停電などさまざまな爪跡を残した。
岡崎市では午前6時ごろ、女性(72)が西魚町を歩いていたところ、強風で飛ばされてきた看板が顔に当たり、顔や肩に軽傷。同市庄司田1では同時刻に男性(33)が車を運転中、倒れてきた木がフロントガラスを直撃し、顔に軽傷を負った。
同3時45分ごろ、県道岡崎清岳線で、道路を塞(ふさ)いでいる高さ15メートル、幹の直径50-60センチの木が見つかり、地元消防団が撤去した。
今回の台風では、強風で送電線が断線するなどし、市内全体の3分の1に当たる約3万戸が停電(8日午後2時現在、7330戸が復旧)。完全復旧には時間を要する。
停電に伴い、一部の配水場で家庭に送水するポンプが停止し、根石、奥殿、板田、茅原沢、蓬生、淡渕町の約180戸が午前10時から断水した。断水した世帯には市水道局の職員が給水車で対応しているが、8日午後5時現在、復旧のめどは立っていない。
一方、市災害対策本部が7日午後6時から市内56カ所に開設していた避難所は、8日午前8時30分にすべて閉鎖された。避難者は午前6時時点で計77世帯140人。
岡崎市教育委員会によると8日正午現在、6小中学校から、体育館の屋根の破損、樹木の倒木、ガラスの破損など被害の報告があった。
断水した岡崎市内の各地域では、生活用水を求めて多くの市民が応急給水車の前に集まった。
稲熊町の梅園公園には午前6時30分ごろから、給水車(2トン)が待機。ポリタンクややかん、ペットボトルなどを持った市民らが列をつくった。
同町の主婦甲斐三樹子さんは「朝から断水し、ガスも止まっています。水の予備はありますが、いつまで続くは分からないので来ました」と不安げな様子で語った。
鉄道では名鉄が8日の始発から全線不通となり、午前11時以降に安全が確認された路線から運転が開始された。東岡崎駅では午前8時ごろまでに約300人が待機を余儀なくされたが、運転開始を待ち疲れて構内の階段に座り込む利用者も。また同駅ビル2階の窓ガラスが割れてロータリーに落下したが、けが人はなかった。
ケヤキの木の倒木で車を運転していた男性(33)がけがをした岡崎市庄司田1の県道では午前中、フロントガラスなどが割れた状態のワンボックスカーが残されたまま。倒木は撤去されたが、通勤などで行き交うドライバーらは警察官の誘導を受けて通行していた。
停電の影響で市内の主要幹線道路国道248号の一部の交差点では、信号機が点灯せず、ドライバーが慎重な運転を強いられた。