東海愛知新聞バックナンバー

 6月25日【木】
ギャラリー一会閉廊

20年の歴史に幕

民家茶房、画廊の先駆け
オーナー小野さん振り返る

岡崎市向山町のギャラリー一会が7月5日の閉廊を前に20年間の愛顧に感謝して、これまで展示会を開いたことがある絵画の斎藤吾朗さん、絹衣の野崎文子さん、木工家具の杉山裕次郎さん、革かばんの保田芳文さんらの協力を得て、27日まで謝恩展示会の第1弾を開催している。陶芸やアンティークジュエリーも並ぶ。第2弾は30日から7月5日まで。

一会のオーナー小野宗芳さん(61)は岡崎市六名南町の生まれ。大学を卒業し同市内の外資系製薬会社に勤務。猛勉強でマスターした英語を趣味の旅行に生かそうと昭和49(1974)年から外国旅行に出かけ、35カ国を訪れた。近年は体調がすぐれないこともあり、東南アジアでロングステイを楽しんでいる。

民家を利用した喫茶店やギャラリーの先駈けとなった一会の歩みを、小野さんに語ってもらった。

茶房「一会」が人気

日本建築に興味を持っていた小野さんは30歳のころ、茶室を造った。設計から資材集め、造作まで自分の手で行った。

「困ったとき、相談相手になってくれたのが大工の石原良三さんでした。日本建築、特に江戸時代の民家にこだわりがあり、私と話が合いました。現在の茶房は石原さんの施工です」

「日本家屋を喫茶店にする、これまでにない発想で店は大ブレークしました。店で提供する物にこだわって手作りとしたこと、さまざまなイベントを打ったことも話題を呼びました」と振り返る。

ギャラリーの経営

40歳を迎えたある日の夜、石原さんが訪ねてきた。施主と意見が合わず3億円の仕事を断ってきたので用意した材料が宙に浮いたという。小野さんはそれを天の啓示だと思い、その木材で家を建ててもらうことにした。それが江戸時代の工法で建てた民家をギャラリーとして使う出発点になった。

自分の審美眼に合った企画展

「ギャラリーは偶然の産物でしたが、貸しギャラリーにはしない。自分の審美眼に合ったものだけを企画展として展示する。20年やったらやめる」ことを心に決めて開廊した。

それまで築いた人脈を生かした独自の展示会を開催。小野さんの審美眼に魅せられた人たちが口コミで訪れるようになり、ギャラリーは計画通り20年間続いた。

閉廊後について小野さんは「時間が十分とれるので、日本古代史の研究、旅行などで楽しみたい。今からが出発です」と明るく話した。


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