岡崎市生平小学校(原博司校長)でムササビの赤ちゃんが育てられている。今月17日、同市樫山町内の山林で保護され、持ち込まれた。同小では昨年、脚を骨折し衰弱していたムササビを引き取って児童や先生が半年間育て、山に帰した。この“実績”を知っていた人が仲介した。春休み中は原校長が世話をし、新学期から6年生14人が交代で育てることにしている。
ムササビは伐採した木の洞(うろ)の巣穴にいた。親は危険を察し、赤ちゃんを口にくわえて逃げようとしたが、かなわず、赤ちゃんは取り残された。
体長18センチ、尾の長さ11センチ、体重125グラムで雄。推定で生後2週間余、28日には両目が開いた。原校長が小動物の飼育用ミルクを4時間おきに与えている。
卒業式を翌日に控えた18日、原校長は6年生の教室で赤ちゃんを見せた。6年生23人は昨年、ムササビを育てたことから「わあー、また来た」と喜び、「名前は『カララ』にして」と原校長に頼んだ。
6年生は、国語教科書の冒頭に載っている「風切るつばさ」(木村裕一作)を一学期に学んでいた。モンゴルからヒマラヤ山脈を越えてインドに渡るアネハヅルの話で、主人公の名前が「クルル」と「カララ」。
ムササビは「クルル」と鳴くことから、昨年は愛称を「クーちゃん」にした。鳴き声と教科書の主人公の名前の一致は偶然だが、運命的な出会いが児童たちの心を動かしたようだ。
「今年も児童が生命の尊さに触れる機会ができます」と原校長。新学期になったら「カララ」の愛称も決める。