アユ遡上 乙川に銀鱗
今年の矢作川水系の天然アユの遡上(そじょう)数は、ここ10年間で最高。間もなくアユ釣りの解禁を迎えるが、釣果は大いに期待が持てそうだ。
矢作川天然アユ調査会(豊田市)によると、調査地点3カ所のうち最下流の同市水源町、明治用水頭首工左岸魚道の遡上数は約520万匹。右岸魚道はカウントしておらず、全体では600万匹以上とみられる。同調査会が独自にカウントを始めた平成10年以降最も多く、これまで最高だった同10年の約335万匹をはるかに超えた。
今年の大量遡上の要因について矢作川研究所(同)では「遡上数は川の水量や水温、気温などに左右されるが、自然の営みだから本当のところは分からない」と話す。
岡崎市内では遡上数を調べていないが、乙川上流部と支流の男川を管理する男川漁協の内田甫組合長も「今年は魚影が濃い」。ただ、田植え時期は田んぼの水を確保するため、堰せきを閉じることから「天然ものの遡上は数が限られる」。内田組合長は、堰に本格的な魚道が整備されて「上流の桜形町まで天然アユが上っていくようになれば」と言う。
男川漁協はじめ矢作川、巴川、岡崎市漁協は、国の許可を得て矢作古川分水堰(藤川堰)の魚道で天然アユを捕獲し各漁協管内で放流。男川漁協では駿河湾産と合わせ、先月22日までに5回、計1550キロ、約24万5千匹を放流した。同市岩中町の「由良苑」南の堰では、体長10センチ前後のアユが身を躍らせる姿が見られる。
男川漁協流域より下流部の乙川を管理する岡崎市漁協では「川を見ていると、体長は大きいもので10センチから15センチになってきた」(近藤政次郎組合長)という。
▽岡崎市漁協=6月2日
▽矢作川漁協・上流=6月2日、下流=同16日
▽巴川漁協=前期6月24日、後期=7月8日
▽男川漁協=7月1日。