折り紙は友
持病があるから運動できないけど
お年寄りが喜んでくれたし
もっと難しいのを折ってみたいな
岡崎市山中小6年 五十嵐凌太君
激しい運動はできない代わりに―。生後11カ月からぜんそくの持病がある岡崎市山中小学校の6年生、五十嵐凌太君(12)の趣味はゲーム、ビデオ鑑賞、そして九年前に始めた折り紙だ。肺炎などで幼少時から入退院を繰り返す五十嵐君にとって、“現代っ子”に縁遠くなった折り紙は、普段の生活に欠かせない。
1カ月の入院生活を送っていた3歳の時、折り紙に初めて触れた。母の由香利さん(36)から「暇つぶしに」と、何気なく手渡されたのがきっかけだった。図書館で借りた折り紙の本を見ながら、ツルやカエル、恐竜などを折ることができるようになった。
それから、折り紙は入院生活を過ごす上での必需品に。時には病室で一緒になった子どもたちに、折った動物をプレゼントした。
小学生になってからも、友達と外で遊ぶことや体育授業の参加は制限され、同級生がしぶきを上げるプールには塩素アレルギーで入れない。自然と、折り紙は入院生活に限らない楽しみとなった。
好きなのは魚で、「折り紙の大きさは同じでも、いろんな形に折れるのが楽しい」と五十嵐君。
夏休み中の今月11日、総合学習の時間で「福祉」をテーマに学区内の介護老人保健施設「羽栗の里」を訪れ、高齢者と折り紙を楽しんだ。「お年寄りが一緒に折るのを喜んでくれた」ことが、これまでで最高の思い出となった。
「難しい折り紙に挑戦したい」と話す五十嵐君に、由香利さんも「今の子どもたちにすれば珍しい趣味でしょうけど」とほほえむ。