コメツキムシの新亜種発見
学会機関誌に発表し登録
設楽の岩古谷山で採取
岡崎の鈴木さん
岡崎市八帖南町の県教育委員会勤務、鈴木栄二さん(52)が昨年6月4日、設楽町の岩古谷山(標高799メートル)のふもとで採取したミヤマヒサゴコメツキが新亜種であることを、自然科学研究機構名誉技官大平仁夫さんが認め、5月20日付けの日本鞘翅(しょうし)学会の機関誌で発表し登録された。
採取したときの様子を鈴木さんは「現在興味を持っているゴミムシを採取するために、岩古谷山に入った。水の枯れた沢で石をどけてみたらコメツキムシが見つかったので、採取してきた」と淡々と語り、「自分はコメツキムシには関心がないので標本の一つにしようと持ち帰っただけ。今年2月に大平先生に見ていただいたら、大発見だと言われてびっくりした」と半年前を振り返った。
新亜種であることをつきとめた大平さんは、市文化財保護審議会委員で、コメツキムシの研究では日本の第一人者。学位も持っている。
大平さんは「ミヤマヒサゴコメツキの仲間は氷河期から生息している昆虫で、標高1000メートルを越える高地で発見されるのが普通で、今回のように標高300メートル付近で発見されたのは異例のことだ」と驚きを隠さない。
「この種は羽が退化してしまい飛んで移動することができない。ここで発見されたことで、付近の過去の地形や気候の謎を解く鍵になる」と今後の研究に期待している。
この新亜種には大平さんによって、学名「Homotechnesotschulskyisuzukii」と、和名「シタラミヤマヒサゴコメツキ」が付けられた。
同所では今年も1匹発見され、計3匹が採取されている。
鈴木さんは岡崎市板屋町に生まれ、幼稚園児のころから祖母に連れられて、まだ田んぼが広がる家の近くを散歩しながら虫や魚を見たり採ったりしていた。小中学生のころは、チョウの採集に夢中になり、高校時代はガを研究していた。
愛知教育大学に入ってからは大平さんの指導もあり、トンボの研究に打ち込み、『新編岡崎市史』では岡崎市のトンボに関する調査を担当、執筆もしている。また自身でも研究の成果をまとめて、『岡崎市のトンボ』を出版している。