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東海愛知新聞

自費出版文化賞

グラフィック部門賞受ける

岡崎の山田さん夫妻
切り絵と創作アプリケの画集で
「高度な技術」評価される

岡崎市両町の山田利一さん(77)、真智子さん(71)夫妻が、昨年出版した画集『切り絵・創作アプリケ』が、第9回日本自費出版文化賞のグラフィック部門で3次にわたる審査の結果、部門賞を受賞。このほど、東京都千代田区の私学会館で表彰式があった。
 同文化賞は、財団法人日本グラフィックサービス工業会が主催し、「出版文化の担い手になっている自費出版物に光を当て、著者の業績をたたえ、かつ自費出版の再評価、活性化を促進しよう」と設けられた。
 賞の選考などは、NPО法人日本自費出版ネットワーク(中山千夏代表理事)が当たり、山田さんの受賞も画集の印刷を手がけた同法人会員の同市柱町、ブラザー印刷(岡田吉生社長)の推薦によるもの。
 岡田社長は「心にひしひしと伝わってくる山田夫妻の想おもいを印刷で表現できるか心配でしたが、今回の受賞を聞き安心し光栄にも思いました」と受賞を喜んでいた。
 今回は、地域文化、個人誌など六部門に全国から845点が集まり、山田さんはグラフィック部門80点の中から部門賞に選ばれた。
 山田さんの画集について、選考委員長の歴史家・色川大吉さんは「ご夫婦の共著は、ともに高度な技術によるもので、非常に水準が高い。娘さんが若くして亡くなり、その追悼の気持ちから四国遍歴など各地を歩き、旅先で出会った人々との友情もまた、この本にしみじみとした感じを与えている。文章もまた簡潔で美しく、レベルが高い」と選評を書いている。
 画集は昨年、平成8年から始めた展覧会「夫婦展」が第10回の節目を迎えるのを記念して作成した。
 利一さんは、昭和39(1964)年ごろから切り絵を始め、中学校長を退職した平成元年からは、地域や学校、老人施設などで指導している。作品のテーマはかやぶきの家のある山村の風景で、伊勢型紙の技法も取り入れた細密な切り絵に、独特の手法で彩色し独創的な画面を作り出している。
 真智子さんは20年ほど前、宮脇綾子さん主宰の「綾の会」に入会。以来、創作アプリケを続けている。題材は、道祖神やボロブドール遺跡の壁画レリーフ。布の色や質感、柄を巧みに生かした作品は独自の芸術性を感じさせる。
 「編集の仕事が好きでカットやレイアウトなど自分の手でやったが、それが評価されてうれしい。思い通りの色調を出してくれたブラザー印刷さんに感謝している」と利一さん。
 真智子さんは「取材のために車で一緒に回った旅が忘れられない。受賞を機に新しい目標に向かって生きていきたい」と前向きに話していた。

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