岡崎中心街のまちづくり
プロジェクトの成果発表
人環大と台湾の学生
岡崎市康生通西のシビコ6階に創設された「21世紀まちづくり研究所」で12日夜、人間環境大の学生と同大に“短期留学"中の台湾の大学生による交流プロジェクトの成果発表会「台湾と日本の学生が考える岡崎中心市街地のまちづくり」が開かれた。5つのグループが、パソコン画像などを使いながら意見を述べた。
発表したのは人環大で日本語教育を中心に学ぶ12人、台湾の東海大と慈済大で日本語を勉強している11人。学生たちは2年前から交流を続けており、台湾の学生は先月28日に教官とともに来岡した。
地域・都市計画論の講義やゼミを担当する人環大助教授・青井哲人さんらの指導で、交流プロジェクトのテーマ「まちづくり」に沿い、学生たちは康生一帯や名鉄東岡崎周辺を歩き調査した。1グループ3〜6人、台湾の学生は1〜2人が各グループに入った。
人環大の一般学生や商店主、通行人らの聞き取り調査から「岡崎は静かで住みよい」「まちづくりに参加したい」などの声がある一方、[1]まちづくりに参加する方法が分からない[2]店の後継ぎがいない[3]商店街の衰退は社会の流れ―といった声もあった。
お年寄りに話を聞く4人グループは、東康生でクリーニング取次店を営む84歳の岡本千ちづるさんを訪れた。岡本さんは所有する空き店舗を誰でも気軽に寄れる場所として生かしたいと話した。学生たちは[1]商店街にはまちづくり会議に参加できない高齢者が多く住んでいる[2]若者と一緒に行動する高齢者が増えたら、まちは元気になる―と主張した。
観光については[1]市民自ら楽しめる場所をつくることがまちの魅力を生む[2]住んでいる人がまちを好きになり、誇りに思うことが基礎だ―などと発表した。
会場では学生やまちづくりにかかわる人たち65人が熱心に聴き、こうした発表会に行政の責任者を招待したらどうかという意見が出た。
台湾の学生は自費で来岡。台湾の教官、人環大とも、今後も交流を続けたいと言い、台湾の学生たちは13日、日本を離れた。
康生地区では2年前、商店街や大型店の代表、地区の各総代らでつくる「岡崎城下まち都心再生協議会」が発足。岡崎市に提出する構想を取りまとめる作業を行い、まちの再生へ向けて活動をしている。その中で先月24日スタートしたのが「21世紀まちづくり研究所」。市内4大学の“サテライト研究室"や県建築事務所協会岡崎支部、再生協議会の実行チーム「DRT」、タウン誌「リバーシブル」編集部など10グループが入居予定。
シビコ6階は5年前から閉鎖されていたが、中心市街地の活性化に取り組む再生協議会と研究所の趣旨に賛同したオーナーから約1,500平方メートルを無償で借り受けた。
岡本さんも会場へ
学生たちが話を聞いて感銘を受けたという岡本千さんが、学生たちに招待され、会場で発表を熱心に聴いた。
空き店舗は、康生通東1丁目の通りに面した角地。「本を置いて、子どもやお年よりが自由に読んだり、おしゃべりをしたりする場所にしたいです。息子にも話し、作業を始めたいですね」と元気いっぱいに話した。
自分の名前からこのスペースを「ちいちゃんの場所」と命名したいという岡本さん。学生たちは応援しようと看板をつくり、この日岡本さんに贈呈した。
岡本さんは「それにしても、学生さんたちは立派です。ちゃんとした考えを持っており、街を歩いて調べたというじゃありませんか。ほんとうに素晴らしい学生さんです」と、若い人の意欲を褒めた。