自作の凧を卒業生に
「絆いつまでも」願い込め 岡崎市細川小の山本校長
岡崎市細川小学校の山本光昭校長が今年も、20日の卒業式を前に卒業生にプレゼントする凧作りを進めている。
「今年は始めるのが遅かったので、今週中に仕上げるのはなかなか大変です」と言いながら、作りかけの凧に目をやる山本校長。
山本校長は平成16年2月、在職中に亡くなった佐々木俊輔前校長の後任として同校に赴任した。
佐々木前校長の学校葬を3月5日に終え、2週間後にはもう卒業式を迎えることに。
「赴任後、わずか1カ月半で送り出さなければならない卒業生に卒業証書を渡すだけでは申し訳ない、寂しい」と思った山本校長。今自分にできることは、趣味で作っている凧をプレゼントすることだと決心。2週間足らずで66枚の凧を作って贈った。
山本校長が凧に興味を持ったのは、講師として名古屋の中学校に通っていた時。通勤の満員電車の中で30歳前後のサラリーマンが凧作りの雑誌を読んでいるのを見てふっと興味を引かれ、帰宅途中の書店で凧の本を買って帰った。秋になって、学校の文化祭に体育館を飾る作品を考えるように言われ、3年生の生徒4、5人を一グループにしてたたみ一畳分の大きさの凧を作り体育館の壁面をぐるりと飾ったところ、大好評を博した。
それから暇をみては凧作りを続けてきたが、それが校長就任後はじめての卒業生を送るときに役に立った。
山本校長が作るのは「江戸角凧」と呼ばれるもの。縦47センチ、横32センチの凧用和紙に源義経、渡辺綱などの武者や昇竜を線描きしてからポスターカラーで色をつける。凧の骨は学区の人から提供を受けた竹を裂いて作る。骨は四本。接着剤で紙の裏に貼はり付けた後、凧の上部を糸でそらせて出来上がり。
今年は、武者絵4種類、昇竜の絵2種類を描いた。義経は、きらびやかな兜(かぶと)をかぶり鼻筋の通った若武者に、渡辺綱はひげ面の荒々しい武者に描かれている。赤、黄、青など華やかな色使いで目立つ。昇竜は、かっと目を開いた竜が緑を基調に描かれ躍動感にあふれる。
凧をプレゼントするようになって3年目。63人の卒業生は、校長先生自作の卒業記念凧を心待ちにしている。