薬物乱用防止など訴え365回
岡田さんが学校中心に講演
岡崎市男川小学校で31日、岡崎葵ライオンズクラブ(河合幹夫会長)主催の薬物乱用防止講演会が開かれた。講師の同クラブ員岡田康孝さんはこの日、自身の講演回数365回を記録した。
岡田さんは、大正9(1920)年生まれの86歳。昭和12(1937)年、南満州鉄道に入社し、16年に現地応召。終戦とともに旧ソ連のシベリアに抑留、24年に帰国した。27年、弟の故一秀さんとブラザー孔版社を設立、のちブラザー印刷株式会社に改組。現在も同社会長を務める。
岡田さんは62年、知人の依頼で経営者を対象に最初の講演を行った。その後、旧知の小学校長から職員向けの講演を頼まれたことから、学校関係の講演が増えた。
最初の講演からちょうど20年目、年間40回講演したこともある。対象も経営者や社員向けと学校関係者向けとが半々。岡崎市をはじめ県内の市町村で300回以上、県外でも50回を数える。
「私の話は人間行動学に基づいたもので、いい人間関係をつくるためのヒントにしていただければと思いながら話しています」と岡田さん。
特に、言葉のはたらきに着目した「明・元・素ことば」=明るく、元気が出る、素直なことばを使おうという提案は、子育て中の親や先生の支持を受けて広まっている。
「300回をひと区切りと思っていましたが、友人から『1年365日だから1年間講演した記録にすべきだ』と言われてそれを目標にしてきました」と言う岡田さんに大事件が起きた。
昨年の12月8日、岡崎市城北中学校の生徒に365回目の講演を予定していたところ、突然体調を崩して講演できなくなってしまった。体調が戻った今回、満願の日を迎えることができた。
「いつも感謝の気持ちで講演をお引き受けしています。みなさんに育てられて今日の私があります。社会とみなさんにお返しができれば」と若々しい表情で話していた。
初めに薬物乱用防止のビデオ「ダメ。ゼッタイ。」を視聴したあと、岡田さんの話を聴いた。
講師の岡田さんは、自らのシベリア抑留体験をまじえながら命を大切にすること、喜びを持って楽しく生きることが薬物などの誘惑に勝つことにつながると力強い口調で話した。
5年生の神谷貴志君は「身の周りでは薬物について見聞きしたことはありません。学校生活も楽しいし誘惑には、『ダメ。ゼッタイ。』と言います」と感想を話した。