北米原産の淡水魚カダヤシ
岡崎の用水路に生息
メダカの減少心配
自然体験の森調査員永井さんが確認
岡崎市末広町地内の用水路に、絶滅危惧(きぐ)種のメダカに体形がよく似た北米原産の外来種、カダヤシが生息していることが分かった。元教師で、「おかざき自然体験の森 基礎調査会調査員」永井貞さん(68)=同市舞木町=が、このほど確認した。岡崎市内でカダヤシの生息が分かったのは初めて。カダヤシはメダカと同じ水域にすみ、環境適応力と繁殖力が強い。メダカの卵や稚魚も食べることから、メダカがさらに減少しないかと心配されている。
この用水路は、城北中学校の北側が暗渠(あんきょ)。国道248号の西側から水路が露出し、早川まで続く。下水道が完備し、いまは雨水を流す。
水温が下がり、カダヤシは日当たりが良く流れの緩やかな表層に群れている。永井さんは、自然体験の森のビオトープで飼育しているメダカと体の特徴を比べ、ヒレの形の違いから判別した。
カダヤシは大正時代、台湾から移入。その名のとおり、蚊の幼虫のボウフラを餌にすることから、ボウフラの駆除用として全国に広まった。カダヤシは卵を腹の中で稚魚にしてから産む卵胎生。メダカと同じ雑食性の魚だが、同じ条件下では卵生のメダカより生存力で勝るという。
昭和30年代後半からの高度経済成長に伴う開発により、メダカが生息する田んぼや小川が少なくなった。平成11年、旧環境庁はメダカを「絶滅危惧種・類(絶滅の危険性が増大している種)」に指定、各地で種の保存が図られている。
永井さんは昭和50年ごろ、豊橋市内でカダヤシを見た。「10年ほど前からは西尾市内にもいるが、とうとう岡崎にまで」と驚く。
これは推測だが、と前置きして「メダカだと思って飼っている人が、メダカを繁殖させようと善意で用水路に放流したのでは」。そして「岡崎でメダカがいるのは、池金町の北山湿地一帯、竜泉寺や箱柳、岩中町など山間部のため池や水田脇の水路だけ」と言う。
ブラックバスやブルーギルが日本の在来種を駆逐している事例もある。永井さんは「これ以上、生態系を乱してはいけない。末広町のカダヤシを捕まえて、よその川や池に放流しないでほしい」と呼びかけている。
◆メダカとカダヤシの簡単な見分け方 メダカの尾ビレは角張り、尻ビレは幅が広い。カダヤシの尾ビレは丸く、尻ビレは幅が狭い。雄の生殖器は尻ビレから伸びている。