エフエムEGAO

番組へのおたより・リクエストはこちら 763@fm-egao.jp その他 局へのお問い合わせはこちら info@fm-egao.jp

東海愛知新聞

紙芝居おじさんは建築士

ボランティアの人気者・岡崎の大山さん 竜美丘小学校で

岡崎市竜美南3丁目の一級建築士、大山光広さん(56)は、同市竜美丘小学校(早川正春校長)の〈紙芝居おじさん〉として人気者だ。自分の長女が同校2年生のときから、PTA活動の本の読み聞かせにかかわってきて16年。7年半前、ドラマチックな紙芝居にシフトチェンジした。「子どもたちと一緒に物語の世界を旅する気持ちでやっています」。紙芝居の“エンジン”は好調だ。
 「ゆりわかがビューンと矢を射ると、武者をグサッと射抜きました」。21日午前8時25分から20分間、1年1組の30人の前で、紙芝居「ゆりわかものがたり」(前・後編、藤田勝治画、さねとうあきら脚本、童心社)を読んだ。
 読んだ、というより演じた、という方が正確だ。登場人物になりきったせりふ、合戦模様は勇ましく、お姫様の声は甲高く優しげに。教室の床に座り込んだ児童は、食い入るように絵を見つめる。
 「さあ、きょうはこれで終わりです」と大山さん。「なんだあー、もういっこ」とせがむ児童たち。こんな光景を後ろで見守っていた担任の金子雅美教諭は「紙芝居のあと授業に入るが、子どもたちの心が落ち着いて、良い効果が出ています」と話した。
 大山さんは岡崎市立図書館で紙芝居を選び、借りてくる。「説教くさいのはダメ。愉快に笑えるものを中心に、たまには怖い物語もやります」
 読み聞かせの時間は毎週水曜日で、1年生から4年生が対象。PTA活動の一つとして始まり、24年目になる。学校側は「地域と共に歩む開かれた学校づくり」を掲げ、こうした学習ボランティアの自主的活動をカリキュラムの中に位置づけている。
 読み聞かせグループはお母さん方ら23人。男性は1人、紙芝居の大山さんだけだ。
 各年度にボランティアが受け持つクラスや日程を除き、本の購入や活動内容はグループが例会で話し合う。活動準備室の会議室には約700冊が備わっている。
 演劇要素が魅力の語り
 大山さんは、昔住んでいた同市材木町から城北中学校に通学し部活で油絵を描いた。青年時代は上京して版画を勉強したが、生活が続かず帰郷。建築の道へ転進して、昭和50(1975)年に独立。平成元年、現住所に移った。
 東京では赤テント、黒テントのアングラ演劇に足を運んだ。読み聞かせに加わったのは、演劇の要素があるのが魅力で、「仕事柄、人前で話す機会が多く、口下手を直したかったから」。
 大山さんは1男4女をもうけた。6年生の末娘が通う愛教大附属岡崎小学校でも年に4、5回、紙芝居をしている。20分間のドラマを演出し、演じる大山さん。「買い物途中、卒業生に会うと『おじさん、こんにちは』とあいさつしてくれる。うれしいですねえ。体が許す限り紙芝居を続けますよ」と控えめに語った。

ページ最初へ