観光客誘致へ期待高まる
岡崎市職員“現地調査”NHK連ドラ「純情きらり」
来春放送のNHK連続テレビ小説「純情きらり」の舞台に決まった岡崎市。全国にPRする絶好の機会を逃すまいと市役所が動き出した。担当職員は12日、八帖町の周辺を路地裏まで歩いて調査。八帖町から岡崎公園まで、撮影にふさわしい場所や城に導く観光ルートを「地下通
路は避けるべきか」「最寄り駅の周辺に休憩所がほしい」などと話し合いながら、メモや写
真を撮って回った。
観光客の誘致やイメージアップの方法などを検討する「純情きらりサポート会議」が今月8日、真木宏哉助役を議長に幹部職員17人で発足。また、実働部隊として、30〜40歳代を中心に職員14人で構成する作業部会も設置した。
作業部会のメンバーは、撮影地の提案、ロケ地の整備、交通規制などにかかわる安全安心課や道路維持課、放送を契機とした観光・商業の振興、全国へのイメージアップ戦略のために観光課や広報課など、各課から集めた。
柴田紘一市長は「岡崎が全国から注目されるように、みんなで知恵を出し合いたい」と話す。
物語は、八丁味噌(みそ)の蔵元に嫁ぐ女性の一代記。時代背景が戦前から戦中へと流れていくことから、ロケ候補地となる昭和初期の町並みを市内で探す必要がある。
市役所以外にも、落ち着いてはいられない所がある。ドラマの設定にある八丁味噌の蔵元だが、撮影協力は八丁味噌のPRを目的に今年6月に発足した組合で対応することに決めた。味噌蔵や古い建物を協力しながら提供していく考えだ。
一方、商工会議所では、今年度に立ち上げた3つの委員会のうち、まちづくり委員会を中心にプロジェクトを組んで協力する方針。9月5日に開く委員会では、ドラマを念頭に観光をテーマに話し合う。
岡崎市は23年前の昭和58(1983)年、大河ドラマ「徳川家康」の舞台になった経験がある。岡崎城を訪れる人は年間20万人ほどだったが、この年は100万人近くに膨れ上がった。
市は観光客を受け入れるために岡崎公園内に売店、公園近くには休憩所と売店を開設。市内の和菓子屋などが土産物を考え、そこで販売した。また、ドラマとは関係なく計画していた「三河武士のやかた家康館」が、放送の前年に公園内にオープン。偶然だったが観光のコースとして大いに活躍した。
開店時から岡崎公園の売店に勤める女性店員は「とにかく平日もたくさんの人出。今では2人の店員だけどあの頃は7、8人いて、商品を注文しても間に合わない状態が続いた。特に八丁味噌が人気でした」と話す。
観光振興に携わった市役所のOBは「PRパンフレットの増刷、看板も立てるなど行政でできる範囲のことはすべてやった。ドラマの中で『岡崎』という言葉が何度も出てくることで、岡崎を知らない人の中で徳川家康と岡崎がくっついた。今度も八丁味噌と岡崎がくっついてくれれば良いPRになる」と期待している。