ヤシ殻炭焼き伝授
額田町 高木田さんスリランカで生活改善へ
6年間、13度目の奉仕訪問
額田町保久で炭焼きをしている高木田洋さん(64)が来月初旬、ボランティア団体「自立のための道具の会」(事務局=名古屋市中村区)のスタッフの一員としてスリランカを訪れる。同国への支援の輪に加わってから6年、13度目の訪問。今回は同会と立命館大学との共同プロジェクト。生活改善のため、ドラム缶窯を使うヤシ殻炭の焼き方、雨水をろ過する浄水器の作り方などを伝授する。
■「道具の会」一員
道具の会は、現地のNPO「水フォーラム」と連絡を取り、今回は首都コロンボから東へ車で3時間、茶畑が広がる山間部のヌアラエリアという町へ行く。浄水器は大きなポリ容器を利用。ヤシ殻炭や砂利、砂を入れて雨水をろ過し、飲料水として使う。ドラム缶やポリ容器は現地調達し、五基のドラム缶窯、雨水をためる甕かめ、20個の浄水器を設置する。事業費は国際開発銀行の補助金。
同国の人たちには炭を使う習慣がない。地区の有力者宅に集まった近所の人たちに、通訳を介して浄化の目的や方法を話し、作業をする。「雨水には木の葉などが混じる。きれいな水は衛生面で不可欠です」と高木田さん。「これまで行った町の後日談では、慣れないせいか、炭を上手に焼くまでには時間がかかるようです」
■8月2日に出発
今回持ち込むのは、見本として使う竹炭15キロ、ドラム缶を切る道具や窯の煙突部品、温度計、浄水器の蛇口部品など。英文の説明資料は現地語に翻訳して、残してくる。一行は高木田さんらのチーム4人をはじめ、水力発電、家具製作、医療の計4チーム13人。高木田さんらは先発隊に続き2日に出発、10日に帰国する。
高木田さんは「額田炭焼の会」の会長も務める。会を作る2年前の平成11年、道具の会を知った。同会は不用になった大工道具などを再生させ、必要とする国へ送っている。活動費は会費やボランティア貯金(郵便貯金)の補助金など。
■女性の手助けを
同年9月、高木田さんはメンバーと一緒に初めてスリランカへ行った。育児や家事に忙殺される女性には調理用燃料として炭が役に立つこと、腐りやすい魚や肉を保存食にするには燻製くんせい用の炭が要ること、そして飲料水不足。「日本は何でもあるが、あちらはない。その実態を見たら支援せんといかんように思ってね」。高木田さんが道具の会で活動を始めた動機だ。
高木田さんらは毎年2度同国を訪れ、1週間ほどをかけて丁寧に指導する。今年4月に南部地区で学生たちを指導した際、地元の新聞が1面に「彼らは企業ではない。ありがたいことにボランティアだ」と紹介した。現地での支援が歓迎されていることが分かる。