岡崎
田園風景の中を行列
20年ぶり 在家町に
六ツ美地区で「御田扇祭」
江戸時代から伝わる「御田扇祭」が17日、岡崎市六ツ美地区で行われた。田園風景の中を下青野町から大きな扇を掲げた行列が練り歩き、20年ぶりに在家町の神明社に到着した。
御田扇祭は「扇(おうぎ)さん」とも呼ばれ、田植えが終わったあとで稲の害虫除けと五穀豊饒を願って行われる。岡崎藩内ではかつて、「手永(てなが)」と呼ばれる六地区で実施されてきたが、現在も昔ながらの行事として行われているのは「堤通り手永」のみといわれている。
堤通り手永には、宮地▽赤渋▽中之郷▽上青野▽高橋▽上合歓木▽下合歓木▽高落▽新村▽西浅井▽東浅井▽安藤▽福桶▽下三ツ木▽上三ツ木▽下青野▽在家▽土井▽牧御堂▽法性寺の20町(一部、西尾市内も含む)があり、毎年「扇さん」が巡回。つまり各町には20年に1回、順番が回ってくる。
今年は下青野町から在家町に「扇さん」が手渡された。
この日午後1時過ぎ、下青野町の慈光寺を行列が出発。町役員を先頭にのぼりや提灯、布切れで作られた花傘などが続き、揃そろいの法被を着た下青野と本郷の子どもたちや、女性たちが踊りながら雰囲気を盛り上げた。
町境を過ぎると、下青野の役員から在家町の村松重雄総代らに、大きな扇や賽銭箱、御田扇御神酒料積立簿などが手渡され、引き続き在家町役員が先頭になって神明社に向かった。
在家町の神明社は昨年10月、約90年ぶりに本殿、渡殿、拝殿を改築したばかり。境内では「20年ぶりに扇さんが到着します」とアナウンスがあり、行列が神明社の鳥居をくぐると、住民が拍手で出迎えた。