岡崎 教習車を使い市民が研修
“予期せぬ事態”体験
岡崎市主催の安全運転研修「セーフティードライビングスクール」が16日、キョウセイ交通大学(須淵町)であった。この研修は教習車を使い、通常は体験できない危険運転を実践することで、普段の運転技術を見直す機会として毎年開かれている。今年は市内在住・在勤者23人が参加。危険運転がもたらす、予期せぬ事態を体験した。
◆アンチスキッド訓練
急ブレーキによるタイヤと路面の摩擦を体感。冬場の凍結状態を再現するため、表面に水を流した磁器タイルの路面を使用。最初は時速40キロで突入し、急ブレーキとともにハンドルを思い切り左に切る。2回目は通常の路面との境を時速50キロで走り、ハンドルを切らずに急ブレーキ。
はた目には簡単に見えるが、実際は車体が180度以上回転するため、スリップによる遠心力などから方向感覚を失い、立て直しが難しい。
◆パニックブレーキ訓練
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の性能を、ABSのオン/オフを切り替えられる特別な教習車で試す。アクセル全開で急発進し、合図とともにブレーキ。この日は直線で試したが、本来は急ブレーキをかけてもタイヤがロックすることなく、ハンドルを切れるのがABSの利点。
「思い切りブレーキを踏みつけて」といわれたが、普段の運転習慣から「ブレーキの踏みが弱い」と指摘を受ける参加者もいた。
◆緊急回避訓練
並べられたパイロンめがけて時速40キロで走り、衝突する寸前で方向を表示する指示機に従い、急ハンドルか急ブレーキで回避する。ここでは、速度の厳守▽回避が間に合わずにパイロンを倒す▽パイロン回避前の急ブレーキ―などがチェックされ、項目に触れると加点式で評価する。つまり、点数が多いほど運転技術に問題がある。
この訓練で参加者が一様に痛感した問題点は、指示が出てから実際の回避行動に移るまでの時間に走る「空走距離」。講師は「ほんの一瞬でも、空走距離は、いわば暴走しているのと同じ」と危険性を指摘した。
参加者らは研修を通じて、自己の運転技術を再確認した様子。講師は「たとえ失敗しても訓練ならば問題ない。『経験したことがある』というのが事故防止につながる」と締めくくった。