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東海愛知新聞

岡崎市美術博物館

きょうからテーマ展「祈りの世界の動物たち」

宗教と人間の橋渡し
古代の鳥や馬 埴輪、鏡など一堂に

岡崎市は、21日から同市高隆寺町の市美術博物館でテーマ展「祈りの世界の動物たち」を開催する。来月26日まで。「テーマ展」は、従来開催してきた「収蔵品展」を発展させたもので、テーマにふさわしい作品を館外からも借り受けて内容の充実を図った。
 今回のテーマでは、昔から労働力として、また愛玩物として人間と深い関係を持つ動物を取り上げた。人間は、昔から身近にある動物を彫刻・絵画・工芸などさまざまな方法で表現してきた。また、民話や伝説の中でも活躍させてきた。
 さらに信仰の世界では、仏に仕え、また神々と人間との仲立ちをする使者として崇拝し、時には自然や神仏の力の象徴として信仰の対象にしてきた。宗教美術の中で表現された動物たちのさまざまな造形には、昔の人々の動物に対する愛情や畏敬の気持ちを感じることができる。
 今回は、獅子、狛犬(こまいぬ)、象、馬、牛、龍など宗教美術を中心に古代の鳥や馬など、動物をかたどった埴輪(はにわ)や鏡などが一堂に展示される。
 愛知県指定文化財「木造(もくぞう)狛犬」(岡崎市滝町・滝山寺)は、滝山寺本堂の裏手にある日吉山王本殿に伝わる狛犬で、桧(ひのき)材の彩 色像。写実的で、背筋をぐっと伸ばしている点は鎌倉期の特徴を示す。脚の毛や尾が阿(あ)形は巻き毛で、吽(うん)形は直毛である点が珍しい。
 岡崎市・外山三号墳出土「馬形(うまがた)埴輪」は、5世紀末に作られた。鬣たてがみや尾を結い、鞍(くら)、鐙あぶみなど写 実的に表現されている。全体が復元された馬形埴輪は、県下でも数少ない。
 豊川市指定文化財「観音二十八部衆 迦楼羅王かるらおう」(豊川市財賀町・財賀寺)は、千手観音を信仰するものを守る迦楼羅王は、インドの聖鳥ガルダを源流にし、鳥頭で羽根を持つ姿で表される。一切の煩悩を食い尽くすと言われる。
 そのほか、石川貫河堂筆「八相涅槃図はっそうねはんず」、愛知県指定文化財「牛頭天王神像」、岡崎市指定文化財「黒漆嵌装がんそう舎利厨子」など、約60点を展示する。
 同美術博物館では「多彩な動物表現の魅力と信仰の中の役割、存在意義を紹介したい。身近な動物を通 して宗教美術に親しんでほしい」と来場を呼びかけている。
 なお、展示説明会が来月4日と18日の午後2時と同6時、展示室で行われる。また、サタデーナイト講座「古代のまつりと動物たち」が、来月11日午後6時から同館である。講師は、同館学芸員・小幡早苗さん。
 観覧料は一般500円、小中学生250円。岡崎市内の小中学生と各種障害手帳を持つ人とその介助者は無料。月曜日は休館。

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