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東海愛知新聞

三州岡崎竜泉寺 2基の「夫婦窯」完成

広がる炭焼きの輪
     三建工業 自社林間伐材炭にイベントにも活用

炭焼きの輪が広がった。岡崎市竜泉寺町間峰ケ平、建築請負の三建工業作業場の一角に炭窯二基ができ上がった。「三州岡崎竜泉寺 夫婦窯」。19日、火入れ式があり、近在の炭焼き仲間ら約50人がお祝いに駆けつけた。“窯主”は同市曙町2丁目の同社オーナー三条基生さん(73)。一基は自社林の間伐材などを木炭にし、もう一基は環境保全を目指すグループに使ってもらう。
 「親父が昔、炭焼きをしていたのを思い出して3年前からここで鉄窯二つで炭を作っとったが、去年壊れてね。木炭は土壌改良や消臭など役に立つし、家の床下に敷けば湿気も防げる。新しく造ろうと」
 三条さんは愛知県津具村出身。同社は作業場の西側一帯に5ヘクタール以上、同県豊根村には150ヘクタールの山林を持っている。間伐材のスギやヒノキ、雑木、建築材の切れ端を炭にする鉄窯を作業場敷地内の小屋に造ったが、それが使えない。
 隣の設楽町に高校と大学が同窓の後輩がいる。「三河炭やき塾」事務局を務める斎藤和彦さん(62)。彼に築窯を頼もう。これまで斎藤さんのイベントに参加している仲だ。
 仕事は速い。天井は鉄板をつるして土で覆い、内壁は高浜市の素焼き平瓦を積み重ねた。窯の大きさは幅2メートル、高さ85センチ、奥行き2.4メートル。同社の作業員も手伝い先月下旬、約3週間で完成させた。費用は約150万円。
 三条さんの妻英子さんは、先月発足した「おかざき炭焼きの会」の会員。同市八ツ木町、おかざき自然体験の森に炭窯を築いた仲間の一人だ。「炭焼きの勉強と人脈づくりが大切ですから」。夫婦窯で焼く炭の一部は世話になった人に宅配便で送るつもりだ。
 三条夫妻は、作業場の奥に約200平方メートルの倉庫を改造してイベント会場兼宿泊施設を造っている。「イベント参加者やお招きした方の交流の場です」。さらに大きな夢は、豊根村で開く森林博覧会。「おみやげは、おいしい空気ときれいな水です」
 豊根村の山は西の矢作川、南の豊川、東の天竜川の水源地。斎藤さんの“弟子”で夫婦窯づくりを手伝い、炭焼きに利用する同県海部郡甚目寺町の杉野賢治さん(42)も「三条さんの山の木を使って炭を焼き、山に撒まいて返す。近くNPO法人を立ちあげたい」と夢を描く。
 火入れ式を祝った額田炭焼の会、おかざき炭焼きの会などの会員が、互いに紹介しながら、炭焼きの仲間が増えたことを喜んでいた 。

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