拍子木打って防犯 防災
防犯ボランティア 板屋安心パトロール隊
週2回のペース自主参加の12人 ごみ拾いも兼ね
「カチカチ」。凍てつくような寒さの中、拍子木の音が町内に響き渡る。岡崎市に登録する35の防犯ボランティアの一つ、「板屋安心パトロール隊」(石原廣総代)。同隊は昨年9月の発足以来、35のボランティアの中でも最多の「週2回」ペースでパトロールを続けている。今年から拍子木も使い、町内の防災にも努めている。
隊員は現在12人。このうち女性が半数を占め、参加率も市内で最も高い。町内会で参加を呼びかけたことは一度もなく、全員自らの意思で参加している。
午後7時。集合場所の板屋稲荷には、時間通りに集まる。町内のごみ拾いも兼ねている同隊は、地下道や国道沿いをはじめ、昔の名残がある住宅街の路地裏など約45分間の道のりを歩く。隊員らは、雨でもパトロールを実施しているが、「苦に感じたことはない」と口をそろえる。中には夫婦そろって参加している家庭も。
「防災のためにも」と取り入れた拍子木は、町内に防犯活動を知らせることにも役立つ。拍子木の音に気づいた町民らは、玄関先で「ごくろうさま」とパトロール中の隊員らに声をかける。近年、失われつつある「地域のつながり」が、ここでは今でも根付いている。
隊が発足したきっかけは、昨年初夏に町内で不審者が立て続けに2回も出没し、いずれも小学生が被害に遭った事件。幸い小学生は無事だったが、精神的ダメージは大きかった。石原総代は「被害に遭った小学生のおびえた様子は忘れられない」と振り返る。
町内会は、市政だよりに掲載された反射材・赤色灯を防犯ボランティアに配る告知欄を見て、ボランティアの結成を決めた。現在では、「健康にもいいから」と気軽に参加する住民がほとんど。
「今では日課で、やらないほうが変な気分。『無理せず長く続ける。でもやれるだけのことを』と考えたら週2回の活動になった。(事件など)何も起こらないように、できる限りのことをしたい」(石原総代)
パトロールを続ける中で、街路灯の必要性を改めて実感する場所を数多く見つけたという。地域に愛着を持ち、楽しんで取り組む活動から生まれる隣近所同士の「絆きずな」が、事件や災害など、いざという時の強みになることを隊員らは訴えている。