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東海愛知新聞

貴重な文化財 未来へ

大樹寺 障壁画のレプリカ制作費の協力金募る

松平、德川将軍家の菩提寺(ぼだいじ)大樹寺(岡崎市鴨田町)がこのほど、境内にある大型の居間「大方丈(おおほうじょう)」に飾られていた障壁画(国の重要文化財)のレプリカを制作した。貴重な文化財を未来に伝えるための取り組みで、かかった費用に充てるための協力金を22日までインターネットで募っている。(犬塚誠)

制作したレプリカは約90面。1857(安政4)年に狩野派の流れをくむ絵師・冷泉為恭(れいぜいためちか)が手掛けた障壁画を、1億5000万画素の高画質で復元した。色彩の鮮やかさはもちろん、しみや裏地の浮き出た状態まで精巧に再現している。現在は実物と同じ配置で大方丈に設置されており、障子越しの自然光と相まって完成当時の雰囲気を伝えている。損壊した場合にはデータを用いて再度制作できることから、新しい文化財管理の形としても期待されている。

寺によると、障壁画は風雨などで劣化が進んで保護が必要になったことから、1978(昭和53)年に収蔵庫に移された。以降は温度や湿度を一定に保った状態で管理しつつ、拝観客に一般公開してきた。

しかし、拝観客の出入りなどによる庫内環境の変動に対処するための空調の稼働で、電気代が増大した。多いときには月に50万円以上かかることもあった。加えて、近年には空調設備が故障。所蔵する他の文化財の修理も見据えると、3000~4000万円近くかかる修理代などの支出は現実的でなく、非公開とする決断に至った。現在、障壁画は湿度管理などの最低限の空調で管理している。

レプリカ制作には1500万円を要した。今回は協力金の目標額を500万円に設定。2月末時点ではその23%に当たる116万円が寄せられている。寺ではオリジナルクリアファイルが付いた期間限定の拝観パスポート(5000円)や金紙を使った御朱印帳と限定の切り絵御朱印のセット(2万円)などを支援者へのお礼として用意しており、さらなる協力を呼び掛ける。

中村康雅貫主(76)は「岡崎をはじめとした日本中の人に協力してもらい、大樹寺を良い状態で未来に向けて残していきたい」と語る。

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